永青文庫にて、2026年7月11日(土)から9月6日(日)まで「えいえいやっとな!蔵出し!細川家の狂言面・装束」が開催されます。
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狂言の魅力
狂言は、室町時代より続く日本を代表する芸能のひとつです。大がかりな舞台装置のない能舞台で演じられ、台詞としぐさにより物語が進行します。登場人物は庶民的なキャラクターが多く、笑いを通して人間の本質を大らかに、また鋭く描写します。中世の人々の日常を題材とするため、台詞は古典的な言葉ですが、誇張されたしぐさで分かりやすくユーモラスな表現が特徴です。

細川家と能楽
細川家における能や狂言の愛好の歴史は、近世細川家の初代である藤孝(幽斎、1534~1610)の時代にまで遡ります。以後240年にわたって熊本藩主を務めた歴代藩主たちも代々能を嗜み、実際に使用するための能や狂言の道具が数多く備えられました。
近代以降も、細川家は能楽と密接に関わり続けています。

永青文庫が所蔵する膨大な能楽資料のうち、狂言に関してだけでも装束は約100点、面は30面あまりを数えます。
本展では専門家による再調査の成果として、永青文庫として過去最多となる狂言資料が一挙に公開されます。細川家が代々大切に守り伝えてきた名品の数々を、能舞台よりも間近な距離でじっくりと観察できる貴重な機会です。
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能「加茂」の間狂言「御田」に出演する細川護立(明治40年頃) 

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赤星閑意「三番叟図」(部分)江戸~明治時代(19世紀)永青文庫蔵 

「えいえいやっとな!」とは?
展覧会名の「えいえいやっとな!」は、舞台で物を飛び越えたり、勢いよく投げたりする場面で発せられる掛け声のひとつです。狂言は古典的な台詞で物語が進行しますが、「メリメリメリ」「グワラグワラグワラ」のように、台詞で表現される擬音も、ユーモアあふれる魅力です。

デザインの宝庫!狂言装束
「幽玄」を理想とし、唐織や金襴など絹の紋織物で仕立てられることが多い能装束に対し、狂言装束は麻地に染で模様を表したものが多いのが特徴です 。
特に肩衣(かたぎぬ)の意表をつくような大胆奇抜な意匠は、当時の武家の美意識を打ち破ろうとする意図さえうかがえます。
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「白麻地源氏車夕顔模様肩衣」江戸時代(18世紀後半~19世紀前半)永青文庫蔵 

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「赤茶麻地大根打出小槌模様肩衣」江戸時代(19世紀)永青文庫蔵 

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「紺麻地雪玉模様肩衣」江戸時代(19世紀)永青文庫蔵 

永青文庫が所蔵する細川家伝来の狂言装束には、肩衣・素襖(すおう)・半袴(はんばかま)・熨斗目(のしめ)・唐人装束といった代表的な種類が揃っており、様々な演目が演じられたことがわかります。
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「染分麻地蒲公英鼓三つ巴模様掛素襖」江戸時代(18世紀後半~19世紀前半)永青文庫蔵 

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「平絹地段熨斗目」江戸時代(19世紀)永青文庫蔵 

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「濃茶麻地青海波丸紋散模様半袴」江戸時代(18世紀後半~19世紀前半)永青文庫蔵 

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「茶麻地丸紋散模様半袴」江戸時代(19世紀)永青文庫蔵 

表情豊かな狂言面
狂言は面を着けることが少なく、生きている人間はそのままの顔で舞台に出る直面(ひためん)が普通です。そのため能面が基本的なものだけで70種あるのに比べ、狂言面は20余種程度です。永青文庫には室町時代の作と見られるものをはじめ30面あまりが伝えられています。
型を踏襲することの多い能面とは異なり、狂言面は面打の自由に任され、個性的なものが多くみられます。猿や狐など動物を写した面のほか、馬・牛・蟹などに用いる「賢徳(けんとく)」や、きのこの役に使う「乙(おと)」、蚊の精や蛸に使う「うそぶき」など、その役柄はユーモラスでバラエティ豊かです。
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「福之神」江戸時代(17~18世紀)永青文庫蔵 撮影:川瀬由照 

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「武悪」「天下一大和」焼印 江戸時代(17世紀)永青文庫蔵 撮影:川瀬由照 

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「祖父」江戸時代(18世紀)永青文庫蔵 撮影:川瀬由照 

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「ふくれ」江戸時代(17世紀)永青文庫蔵 撮影:川瀬由照 

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「猿」「出目(花押)」刻銘 江戸時代(17~18世紀)永青文庫蔵 撮影:川瀬由照 

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「狐」江戸時代(18~19世紀)永青文庫蔵 撮影:川瀬由照 

本展では、現代の狂言界を牽引する「万作の会」との特別協力により、野村万作・萬斎・裕基の三氏による演者の視点でのコメントが作品に添えられます。会場に掲げられる舞台写真とともに作品への理解をより深めることができるでしょう。
この夏は永青文庫で、日本の古典芸能の奥深さと楽しさを再発見してみてはいかがでしょうか。

【開催概要】
展覧会名:えいえいやっとな!蔵出し!細川家の狂言面・装束
会期:2026年7月11日(土)~2026年9月6日(日)
会場:永青文庫(東京都文京区目白台1-1-1)
時間:10:00~16:30(最終入館時間 16:00)
休館日:毎週月曜日(ただし7/20は開館し、7/21は休館)
入館料:一般 1000円、シニア(70歳以上) 800円、大学・高校生 500円、中学生以下無料
永青文庫 公式サイト:https://www.eiseibunko.com/