今年は、大阪・関西万博の開催記念展や大阪市立美術館のリニューアル展など、関西を中心に「国宝」をキーワードとした大型企画が充実した1年でした。個人的に心に残った展覧会ベスト10を振り返ります。

個人的 2025年 展覧会ベスト10(順不同)
1. 奈良国立博物館開館130年記念特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」
会場: 奈良国立博物館
会期: 4月19日~6月15日
万博開催と開館130年を記念し、国宝の中の国宝が集結した圧巻の展示でした。特に仏教美術における「祈り」の形が、これほどまでに多様で美しいものかと再認識させられる内容でした。会場の厳かながらも熱気ある雰囲気も忘れられません。
> これもよかった!:特別展「世界探検の旅」
異文化への眼差しが新鮮で、時空を超えた冒険のようなワクワク感がありました。

2. 特別展「宋元仏画─蒼海(うみ)を越えたほとけたち」
会場: 京都国立博物館
会期: 9月20日~11月16日
海を渡り日本にもたらされた中国・宋元の仏画が一堂に会した貴重な機会でした。日本の仏画に与えた多大な影響を、実際の作品を通して比較しながら体感できる、京博ならではの重厚な企画でした。

3. 新館開館一周年記念「「数寄者」の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造」
会場: 荏原 畠山美術館
会期: 10月4日~12月14日
創設者・畠山即翁が愛した古今の名品と、現代美術家・杉本博司の作品が響き合う空間構成が秀逸。「数寄(すき)」という精神が、過去のものではなく現在進行形で生きていることを証明するかのような、研ぎ澄まされた美意識の競演に酔いしれました。

4. 大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展「日本国宝展」
会場: 大阪市立美術館
会期: 4月26日~6月15日
全国から約130件もの国宝が集結した奇跡のような展覧会。縄文土器から近世絵画まで、教科書で見た名品たちが目これでもかと並び、リニューアル後の最新の展示環境で、国宝が放つ圧倒的な「実物の力」を肌で感じ、日本美術の奥深さに改めて感動しました。

5. 企画展「唐絵―中国絵画と日本中世の水墨画―」
会場: 根津美術館
会期: 7月19日~8月24日
中国絵画への憧れから始まり、独自の美意識を加えて日本で花開いた「唐絵」の世界を、根津美術館の質の高いコレクションで堪能できました。中国絵画そのものの魅力はもちろん、それを日本人がどう受容し、独自の水墨画へと昇華させていったのか、その変遷のドラマが静かに、しかし雄弁に語られていました。

6. OPAM開館10周年記念「きらめく日本美術 1300年の至宝」
会場: 大分県立美術館(OPAM)
会期: 11月22日~2026年1月14日
 宇佐神宮の八幡信仰、大友氏と禅宗文化、南蛮美術から豊後南画まで、大分(豊前・豊後)ゆかりの至宝に焦点を当てた展覧会。地域独自の文化が京都・江戸や海外とどう結びつき、花開いたかを壮大なスケールで概観でき、大分の文化的豊かさを再認識できる素晴らしい展覧会でした。


7. 没後35年 北澤映月展
会場: 平塚市美術館
会期: 10月11日~11月30日
独自の孤高な女性像を描き続けた北澤映月の全貌に迫る回顧展。初期の模索から戦後の挑戦、そして歴史や花々と響き合う晩年の境地まで、映月の画業の変遷を丁寧にたどることができる貴重な機会でした。今後、再評価の機運が高まることを期待したい画家のひとりです。
> これもよかった:「国立劇場の名品展」(2026年2月15日まで開催中)
近代日本画の巨匠たちが描いた風景画、花鳥画、人物画をジャンル別に展示。鏑木清方や東山魁夷などの作品が美術館でまとめて見られる貴重な機会です。

8. 開館20周年記念特別展「円山応挙―革新者から巨匠へ」
会場: 三井記念美術館
会期: 9月26日~11月24日
写生を重視し、日本絵画に革命を起こした応挙の真価に触れる展覧会。代表作「雪松図屏風」や東京初公開の若冲と応の合作はもちろん、初期から晩年までの画業を丁寧に追うことで、彼がいかにして「巨匠」へと登り詰めたのか、その画境の深まりをじっくりたどることができました。

9. 開創1150年記念特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」
会場: 東京国立博物館
会期: 1月21日~3月16日
年の初めを飾るにふさわしい雅やかな展示でした。狩野山楽・山雪らによる襖絵の金碧画の輝きと、大覚寺が守り伝えてきた皇室ゆかりの宝物の数々は、まさに百花繚乱。大覚寺の信仰と歴史の重みを東京にいながらにして体感できる贅沢な時間でした。

10. 「修理後大公開! 静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」
会場: 静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
会期: 2025年10月4日~12月21日
万博を彩った華麗な工芸品や修理後初公開の室町水墨画、菊池容斎による「未来の国宝」候補の歴史画など見どころ満載。後期には、漆黒に星々が輝く国宝「曜変天目」をはじめ宋元の国宝3点が勢ぞろい。重要文化財の明治生命館で、東洋美術の真髄に触れる贅沢なひとときがすごせました。

2026年も年始から、大分の「きらめく日本美術」や平塚の「国立劇場の名品展」など、開催中の展覧会もあります。未見の方はぜひ足を運んでみてください。
来年も素敵なアートとの出会いがありますように!
お正月