大阪・天王寺公園内にある大阪市立美術館にて、2026年2月7日(土)から4月5日(日)まで、興祖微妙大師六百五十年遠諱記念特別展「妙心寺 禅の継承」が開催されます。
本展は、臨済宗妙心寺派の大本山である妙心寺(京都市右京区)の第2世・ 授翁宗弼じゅおうそうひつ 微妙大師みみょうたいし )の650年遠諱を記念するものです。
開山・ 関山慧玄かんざんえげん から授翁を経て現在へと受け継がれる禅の系譜を、国宝や重要文化財を含む名宝の数々を通してたどります。
11 チラシデータ

開山忌の大方丈での設えを再現
本展の見どころの一つは、妙心寺で最も重要な法要のひとつ「開山忌」の空間再現です。
ここでは「妙心寺屏風」の異名を持つ、大型の巨大な屏風群が立ち並びます。
狩野山楽筆の《龍虎図屏風》、海北友松筆の《花卉図屏風》《寒山拾得・三酸図屏風》(いずれも重要文化財)が、豪華絢爛な空間を演出します。

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重要文化財 狩野山楽 「龍虎図屏風」(右隻)  桃山時代(17世紀) 妙心寺

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重要文化財 狩野山楽 「龍虎図屏風」(左隻)  桃山時代(17世紀) 妙心寺

禅の教えを伝える書と画
開山忌の空間には、絵画と共に妙心寺の法系を伝える高僧の書や肖像画も飾られました。国宝《宗峰妙超墨蹟「関山」道号》は、関山慧玄に師から授けられた道号です。
3国宝 宗峰妙超墨蹟「関山」道号
国宝 宗峰妙超墨蹟 「関山」道号 鎌倉時代・嘉暦4年(1329) 妙心寺  (前期展示)

また開山忌には、釈迦の没後に仏教の正法を護ったとされる羅漢を描いた《十六羅漢図》も堂内に掛けられました。
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重要文化財 「十六羅漢図」のうち 第二「迦諾迦伐蹉尊者」 鎌倉時代(14世紀) 妙心寺 画像提供:株式会社 修美 (前期展示)

狩野山楽・山雪による天球院襖大公開
塔頭・天球院の方丈を飾る襖絵の特別公開も見逃せません。
狩野山楽・山雪父子によるこれらの作品は、金地濃彩の鮮やかな色彩が今なお残っています。
《梅花遊禽図襖》は、水平、垂直、斜め45度という見事な幾何学的構成が見どころです。
一方、シンプルかつ大胆な構図で描かれているのが《竹林猛虎図襖》。
これに対し、《朝顔図襖》では、やまと絵的な優美さが際立ち、いずれも桃山絵画を引き継いだ江戸初期絵画を代表する名作です。
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重要文化財 狩野山楽・山雪 「梅花遊禽図襖」 江戸時代 寛永8年(1631) 京都・天球院 画像提供:天球院(綴プロジェクト)

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重要文化財 狩野山楽・山雪 「竹林猛虎図襖」 江戸時代 寛永8年(1631) 京都・天球院 画像提供:天球院(綴プロジェクト)

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重要文化財 狩野山楽・山雪 「朝顔図襖」 江戸時代 寛永8年(1631) 京都・天球院 画像提供:天球院(綴プロジェクト)

妙心寺の歴史とゆかりの人物
妙心寺は、花園法皇が自らの離宮を禅寺に改めたことから始まります。
その開基である法皇の姿を描いたのが、重要文化財《花園法皇像》です。
8 重文 花園法皇像後花園上皇賛
重要文化財 「花園法皇像」 後花園上皇賛 南北朝時代(14世紀)  妙心寺  (前期展示)

戦国時代には多くの武将たちの帰依を受け、多くの塔頭が造営されました。豊臣秀吉が溺愛した息子の棄丸(すてまる)も妙心寺で葬儀が執り行われ、その縁で伝わった《豊臣棄丸所用の小型武具》(重要文化財)も展示されます。

本展の主役である微妙大師(授翁宗弼)は、開山・関山慧玄の唯一の後継者として妙心寺の草創期を支えました。その教えを伝えるのが《授翁宗弼墨蹟「少水魚有楽」》です。
さらに、微妙大師が結んだ草庵を起源とする滋賀・妙感寺に伝わる《千手観音坐像》など、大師ゆかりの宝物の数々も展示されます。

江戸時代には、「五百年に一人の英傑」と称えられた 白隠慧鶴はくいんえかく のような名僧も登場しました。白隠は民衆教化に力を尽くし、生涯で1万点を超える禅画や墨蹟を遺しています。《達磨像》は、朱と黒の強烈なコントラストが際立つ、最晩年の代表作です。
9 46_「達磨像」(大分・萬寿寺)
白隠慧鶴「達磨像」江戸時代(18世紀)大分・萬壽寺 画像提供:花園大学国際禅学研究所 撮影:第一スタジオ 堀出恒夫 (後期展示)

日本絵画史を彩る巨匠たちの競演
妙心寺山内には、日本絵画史に名を残す巨匠たちの作品が数多く伝わります。
狩野元信による重要文化財《瀟湘八景図》は、中国の景勝地を描いた水墨画の名品です。
また、優美な線描が特徴の鎌倉時代の羅漢像、京都の南蛮寺で用いられていた銅鐘、長谷川等伯筆の《枯木猿猴図》(重要文化財)など、珠玉の寺宝も登場します。
10-1 長谷川等伯「枯木猿猴図」左幅
重要文化財 長谷川等伯「枯木猿猴図」(左幅) 桃山時代(16~17世紀)京都・龍泉庵 画像提供:京都国立博物館 (後期展示)

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重要文化財 長谷川等伯「枯木猿猴図」(右幅) 桃山時代(16~17世紀)京都・龍泉庵 画像提供:京都国立博物館 (後期展示)

大阪で受け継がれる禅の教え
本展では、大阪の妙心寺派寺院で行われた最新の寺宝調査の成果も紹介されます。調査の結果、平安時代後期の作風が顕著な《聖観音立像》のように、寺の創建より古い時代の仏像が複数見つかりました。こうした、地元大阪の妙心寺派寺院に伝わる普段非公開の寺宝など、あまり知られていない大阪の豊富な文化財にも光を当てます。

音声ガイドのナビゲーターには、歌舞伎俳優の中村隼人さんが就任しました。妙心寺塔頭での坐禅経験もある中村さんが、寺宝の魅力を分かりやすく解説します。
前売券は、2026年2月6日(金)まで販売中。当日券より2人で600円お得な「ペアチケット」や、300円お得な「平日限定チケット」(いずれも枚数限定)が用意されています。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。

本展では、650年の時を超えて受け継がれてきた禅の教えと、日本美術の粋ともいえる壮大なスケールの名宝が集います。桃山時代の豪華絢爛な障壁画から、高僧たちの厳しい修行の息吹を伝える作品まで、妙心寺が守り伝えてきた歴史と文化を一望できる貴重な機会といえるでしょう。
650年という時を超えて受け継がれてきた禅の系譜を、この機会にじっくりとたどってみてはいかがでしょうか。

【開催概要】
展覧会名:興祖微妙大師六百五十年遠諱記念特別展「妙心寺 禅の継承」
会期:2026年2月7日(土)~4月5日(日)
会場:大阪市立美術館
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし、2月23日は開館)、2月24日(火)
観覧料:一般2000円、高大生1300円、小中生500円 ※未就学児は無料
展覧会公式サイト:https://art.nikkei.com/myoshin-ji/