この展覧会は、世界文化遺産・春日大社の境内に鎮座する春日若宮(若宮神社)の例祭「春日若宮おん祭」をテーマにした恒例企画です。
平安末期の1136年に始まり、今年で890年目を迎えるこの祭りの長い歴史と、春日大社への信仰から生まれた多彩な美術品が一堂に会します。
春日大社が誇る精緻な技巧を凝らした神宝の数々のほか、近年の文化財復元の成果も公開され、大和一国を挙げて行われた華麗なおん祭の世界を堪能できるまたとない機会となります。

《若宮御料古神宝類 毛抜形太刀 復元模造》現代 平成15年(2003) 奈良・春日大社
「春日若宮おん祭」とは
「春日若宮おん祭」とは、毎年12月17日に行われる、五穀豊穣や世の中の安寧を祈願するお祭りです。900年近く続く日本屈指の格式と伝統を誇り、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
若宮神を御旅所(おたびしょ)と呼ばれる里の仮の社殿にお迎えし、24時間にわたり様々な芸能を捧げることで、五穀豊穣と世の中の安寧を祈願します。
祭りの大きな見どころは、伝統的な衣装をまとった奉仕者たちが長い行列を作って奈良の町から御旅所へ向かう「お渡り」です。
展示では、お渡り式や御旅所祭の様子を描いた、当時の祭礼の雰囲気を今に伝える作品が紹介されます。
《春日祭礼之図》(部分)江戸時代(19世紀)奈良・春日大社
展覧会の最初の章「春日若宮の誕生」では、鹿に乗って飛来した春日の神、ほとけの姿で表された若宮の姿など、春日大社の創建や信仰の広がりを示す絵画作品や歴史史料が紹介されます。

《春日社寺曼荼羅》鎌倉時代(13~14世紀)奈良国立博物館
春日若宮古神宝の世界
続く「春日若宮古神宝の世界」では、若宮の神に捧げられた古神宝類と、それらを現代の匠が再現した品々が並びます。平安時代の最高峰の技術と王朝文化のきらびやかな世界を堪能できます。

国宝《若宮御料古神宝類 銅造狛犬》平安時代(12世紀)奈良・春日大社
春日若宮おん祭
最後の章「春日若宮おん祭」では、おん祭の様子を伝える絵巻や芸能関係の装束や楽器類を通して、若宮神に捧げられた人々の想いを感じ取ることができます。また、生駒郡平群町福貴から春日大社へ奉納された「春日鹿曼荼羅」など、地域に息づく信仰の姿にも光を当てます。

重要文化財《舞楽面 納曽利》平安時代(12世紀)奈良・春日大社
【開催概要】
展覧会名:特別陳列「春日若宮おん祭の信仰と美術」
会期:2025年12月13日(土)~2026年1月18日(日)
会場:奈良国立博物館 西新館(奈良市登大路町50番地 奈良公園内)
開館時間:9:30~17:00(春日若宮おん祭お渡り式の日(12月17日)は19:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜、12月28日~2026年1月1日、1月13日(1月12日〈月・祝〉は開館)
観覧料:一般700円、大学生350円、高校生以下無料
高校生以下および18歳未満の方、満70歳以上の方、障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)は観覧無料。
春日若宮おん祭お渡り式の日(12月17日)はすべての方が観覧無料。
高校生以下および18歳未満の方と一緒に観覧される方は、一般100円引き、大学生50円引き。
奈良国立博物館公式ウェブサイト:https://www.narahaku.go.jp/

