大阪中之島美術館で、2025年12月13日(土)から2026年3月8日(日)まで、「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」が開催されます。
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シュルレアリスムって何?
シュルレアリスムとは、これまで無視されてきたような連想における高次のリアリティと、夢が持つ全能性に基づく考え方です。
特定の表現の様式を指すのではなく、私たちが現実だと信じているものの中から、より上位の現実である「超現実」を明らかにしようとする、あらゆる創造的な行為を意味するものとされています。

本展では、シュルレアリスムが視覚芸術の世界にとどまらず、広告やファッション、インテリアといった私たちの日常にまで拡大していった軌跡をたどります。
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ルネ・マグリット《王様の美術館》1966年 横浜美術館

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エルザ・スキャパレッリ《イヴニング・ドレス「サーカス・コレクション」》 1938年 島根県立石見美術館 前期展示

第1章 オブジェー 「客観」と「超現実」の関係
展覧会の冒頭では、シュルレアリストたちが「超現実」と向き合うために制作したオブジェの数々が紹介されます。さらに1924年にアンドレ・ブルトンが発表した歴史的な文献『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』の初版本が展示され、運動の原点に触れることができます。
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アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(初版本)1924年 岡崎市美術博物館

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フランシス・ピカビア《黄あげは》1926年 大阪中之島美術館

第2章 絵画視覚芸術の新たな扉
第2章では、文学的な実験から始まったシュルレアリスムが、絵画の領域へと広がっていく様子を紹介します。サルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、ルネ・マグリットをはじめとする作家たちは、個性豊かな作風や技法を使い、人の深層心理や夢想を反映した不可思議な光景を描きました。
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イヴ・タンギー《失われた鐘》1929年 豊田市美術館

第2章のなかでも注目すべきは、ルネ・マグリットの作品です。本展には、横浜美術館所蔵の《王様の美術館》が来阪します。この作品には、マグリット作品にしばしば登場する山高帽の男が描かれています。
そして、大阪中之島美術館のコレクションを代表する《レディ・メイドの花束》にも、同じく山高帽の男が。このふたりの山高帽の男が、同じ展示室を彩るのは、見逃せないみどころです。
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ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》1957年 大阪中之島美術館

第3章 写真一変容するイメージ
第3章では、20世紀美術を彩る主要表現の一つとなった写真に注目。マン・レイらシュルレアリストが多彩な技法で日常的な被写体を謎めいたイメージへとつくり変えた作品が展示されます。
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ヴォルス《美しい肉片》1939年 個人蔵

第4章 広告「機能」する構成
4章からは、オブジェ、写真、絵画といった芸術と呼ばれる領域から、さらに広く目を向けます。
デペイズマンやコラージュ、フォトモンタージュなど、シュルレアリスムにおいて多用されたテクニックが発揮された作品が紹介されます。
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クルト・セリグマン《国際シュルレアリスム展》1938年 サントリーポスターコレクション (大阪中之島美術館寄託)後期展示

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フリッツ・ビューラー《ポスター「ジオデュの帽子」》1934年 宇都宮美術館 後期展示

第5章 ファッション欲望の喚起
シュルレアリスムはファッションの世界にも大きな影響を与えました。第5章では、デザイナー、スキャパレッリの作品を展示しています。彼女の代名詞ともいえるショッキング・ピンクのドレスや、独自のデザインが施された香水瓶やジュエリーなど、多岐にわかる彼女の作品が集結します。
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ヴォルス《無題》 1937 / 1979年の再プリント 横浜美術館 後期展示

第6章 インテリア室内空間の変容
違和感を引き起こして現実に揺さぶりをかけるシュルレアリスムにとって、室内の安定した秩序を転覆させることは大きな意味がありました。
第6章では、奇妙なオブジェへと変貌した家具など、シュルレアリスムによる空間への関与を見ることができます。

芸術のみならず社会全体に影響を与えたシュルレアリスム。
発生から約100年を経た今、日本国内に所蔵されている多様なジャンルの優品を一堂に集め、シュルレアリスム像の再構築をめざす注目の展覧会です。

【開催概要】
展覧会名:拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ
会期:2025年12月13日(土)~2026年3月8日(日)
前期: 12/13(土)~1/25(日) / 後期: 1/27(火)~3/8(日)
会場:大阪中之島美術館4階展示室
開館時間:10:00~17:00 (入場は16:30まで)
休館日:月曜日、12/30(火)、12/31(水)、1/1(木・祝)、1/13(火)、2/24(火)
※1/12(月・祝)、2/23(月・祝)は開館
観覧料:一般1,800円、高大生1,500円、小中生500円
展覧会公式ホームページ:https://nakka-art.jp/exhibition-post/surrealism-2025/