京都・相国寺承天閣美術館で、企画展「屏風 黄金の調度」が開催されます。I期は2025年10月19日(日)から12月21日(日)まで、II期は2026年1月11日(日)から3月8日(日)まで。
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屏風は、日本の家屋で部屋の仕切りなどに使われてきた調度品です。2枚、6枚とつながれた画面は、その折り目にあわせて立体的に私たちの視覚に迫ります。特に金地に鮮やかに描き込まれた画題は大きな存在感を誇ります。
08竹図屏風 呉春筆(左隻)相 Ⅱ期08竹図屏風 呉春筆(右隻)相 Ⅱ期
《竹図屏風》呉春筆 六曲一双 紙本墨画 江戸時代 相国寺蔵 II期

寺宝として伝わった「黄金の調度」
相国寺に伝わる屏風の中には、後水尾院やゆかりの宮家から寄進されたものもあります。それらは、風よけや仕切りといった実用品の域を超え、寺宝として大切に守られてきました。
本展では、江戸時代の相国寺伽藍を彩った水墨画や金地の華やかな屏風を、その由緒とともに楽しむことができます。
06柳図屏風 狩野宗秀筆 相 Ⅱ期
《柳図屏風》狩野宗秀筆 六曲一隻 紙本金地著色 桃山時代 相国寺蔵 II期

狩野派から若冲、応挙まで — 巨匠たちが彩る物語
展示は、「第1章 相国寺を荘厳する屏風」「第2章 人々の営みを描く屏風」「第3章 自然を描く屏風」の3章で構成されています。
それぞれのテーマに沿って選び抜かれた作品を通して、屏風絵の持つ多様な魅力を深く味わうことができます。
05耳川合戦図屏風 探意筆 相 Ⅱ期
《耳川合戦図屏風》探意筆 八曲一隻 紙本金地著色 江戸時代 相国寺蔵 II期

本展では、伊藤若冲や円山応挙、池大雅といった巨匠たちの作品も登場します。その個性豊かな表現の違いを見比べるのも楽しみの一つといえるでしょう。
07群鶏蔬菜図屏風 伊藤若冲筆(左隻)相 Ⅱ期07群鶏蔬菜図屏風 伊藤若冲筆(右隻)相 Ⅱ期
《群鶏蔬菜図押絵貼屏風》伊藤若冲筆 六曲一双 紙本墨画 江戸時代 相国寺蔵 II期

03山中清遊図屏風 円山応挙筆(左隻)相 Ⅰ期03山中清遊図屏風 円山応挙筆(右隻)相 Ⅰ期
《山中清遊図屏風》円山応挙筆 六曲一双 紙 墨画淡彩 江戸時代 相国寺蔵 I期

04渓亭春興・秋山行楽図屏風 池大雅筆(左隻)慈 Ⅰ期04渓亭春興・秋山行楽図屏風 池大雅筆(右隻)慈 Ⅰ期
《渓亭春興・秋山行楽図屏風》池大雅筆 六曲一双 紙本淡彩 江戸時代 慈照寺蔵 I期

そして中国の故事、日本の古典文学、四季の花鳥など、多彩な画題の作品の競演も見どころです。
01郭子儀兒孫遊歓嬉図屏風(左隻)相 Ⅰ期01郭子儀兒孫遊歓嬉図屏風(右隻)相 Ⅰ期
《郭子儀兒孫遊歓嬉図屏風》 六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 相国寺蔵 I期

02源氏物語図屏風 狩野常信筆(左隻)相 Ⅰ期02源氏物語図屏風 狩野常信筆(右隻)相 Ⅰ期
《源氏物語図屏風狩野常信 六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 相国寺蔵 I期

さらに慈照院蔵の《馬図屏風》や、林光院蔵 の《扇面貼交屏風》など、今回初公開の作品も見逃せません。

見逃がせない、小さな空間の美
本展では、普段は見落とされがちな小襖にも光を当てています。これは床の間脇の棚にある小さな収納空間を仕切るもので、今回は慈照院の東山天皇より拝領した御殿の小襖などが初公開されます。さらに、伊藤若冲の障壁画で有名な鹿苑寺大書院から、住吉如慶による愛らしい犬が描かれた小襖も公開されます。

屏風の中には、中国の故事から日本の風景まで、多彩な世界が広がっています。その世界を旅するような豊かな時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【開催概要】
展覧会名:相国寺承天閣美術館 企画展「屏風 黄金の調度」
会期:
Ⅰ期:2025年10月19日(日)~12月21日(日)
Ⅱ期:2026年1月11日(日)~3月8日(日)
会場:相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入)
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:2025年12月22日(月)~2026年1月10日(土)
入館料:一般1,000円、大学生・高校生800円、中学生500円、小学生無料(要保護者同伴)
公式ホームページ:https://www.shokoku-ji.jp/museum/