日本橋髙島屋S.C.本館8階ホールでは、2025年8月21日から9月7日まで、「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」が開催されています。
20世紀の北欧デザインを代表するアーティスト、スティグ・リンドベリとは?
スティグ・リンドベリ(1916–1982)は、スウェーデンを代表する陶芸家・デザイナーです。そのデザインは没後40年を経た今もなお高く評価され、世界中の人々に愛されています。
本展は、20世紀デザインを切り拓いた彼の魅力を包括的に紹介する、日本初の大規模回顧展です。
1930年代後半のデビュー期から1980年代初頭の晩年までの代表的な作品、約300点を展示。すべてリンドベリの遺品や家族が大切に所蔵してきた貴重なプライベートコレクションで、日本初公開となる作品も多数含まれています。
1930年代後半のデビュー期から1980年代初頭の晩年までの代表的な作品、約300点を展示。すべてリンドベリの遺品や家族が大切に所蔵してきた貴重なプライベートコレクションで、日本初公開となる作品も多数含まれています。

展示風景
展示の概要と主な展示作品は、こちらをご覧ください。
創作の軌跡をたどる旅
展覧会の入口では、リンドベリの2つの重要な作品が来場者を迎えます。
一つは、1937年に制作された、彼がキャリアの非常に早い段階で手がけた最初の彫像。もう一つは、リンドベリの死後、彼の次女で陶芸家でもあったマリータが手を加えて完成させた、生涯最後の作品となった彫像です。
一つは、1937年に制作された、彼がキャリアの非常に早い段階で手がけた最初の彫像。もう一つは、リンドベリの死後、彼の次女で陶芸家でもあったマリータが手を加えて完成させた、生涯最後の作品となった彫像です。
本展では、この2つの作品の間にどのような創作があったのか、その軌跡をたどります。

会場入口
食卓を彩るテーブルウェア
展示の冒頭では、彼の代表的な仕事の一つである「テーブルウェア」が並びます。

「第1章 テーブルウェア(1940-1980)」展示風景より、(右)スティグ・リンドベリ[ペンシル]装飾、[LF] モデル/ティーカップ&ソーサー、皿 グスタフスベリ磁器工房
グスタフスベリ販売部長のステューレ・ エングストランドが、リンドベリのデザインの中で最も美しい と評した [LF] モデルをはじめ、有名な葉っぱ模様の[ベルサ]、青いプラムが愛らしい[プラム]といった、著名なシリーズが並びます。

「第1章 テーブルウェア(1940-1980)」展示風景
1955年にスウェーデンのヘルシンボリで開催された「H55(国際建築工業デザイン博覧会)」は、北欧デザインの歴史を語る上で欠かせない出来事です。
この展覧会でリンドベリは、オーブンからそのまま食卓へ出せる耐火性の[スピーサ・リッブ]や、蓋としても機能するプレートなどを発表し、大きな注目を集めました。
この展覧会でリンドベリは、オーブンからそのまま食卓へ出せる耐火性の[スピーサ・リッブ]や、蓋としても機能するプレートなどを発表し、大きな注目を集めました。

(上)[テルマ]シリーズのスケッチ、(下)[テルマ]シリーズ/クッキングセット:調理鍋、フライパン、チュリーン、コーヒーポット いずれもスティグ・リンドベリ、グスタフスベリ磁器工房
1970年代に入ると大胆な花柄のデザインが流行し、赤と青の [アスター] や [テュルテュル] 、 [リビエラ] 、 [タヒチ] といったシリーズが登場しました。

「第1章 テーブルウェア(1940-1980)」展示風景
ほかにも日本ではあまり知られていないシリーズも展示され、彼のデザインの変遷をたどることができます。
ファイアンスの多彩な世界
「ファイアンス」のセクションでは、リンドベリの名を世に知らしめたユニークピース(一点もの)の作品群が紹介されます。
ファイアンスとは、錫の釉薬を使った陶器の上に直接絵付けをする技法です。まるで紙に水彩画を描くように、生き生きとした色彩で描かれた作品は、第二次世界大戦下にもかかわらず圧倒的な人気を集めました。
この成功は、後に多くの優秀なデザイナーたちが集い、さらなる芸術的探求の舞台となる「グスタフスベリ・スタジオ(Gスタジオ) 」の設立へとつながります。
ファイアンスとは、錫の釉薬を使った陶器の上に直接絵付けをする技法です。まるで紙に水彩画を描くように、生き生きとした色彩で描かれた作品は、第二次世界大戦下にもかかわらず圧倒的な人気を集めました。
この成功は、後に多くの優秀なデザイナーたちが集い、さらなる芸術的探求の舞台となる「グスタフスベリ・スタジオ(Gスタジオ) 」の設立へとつながります。

「第3章 ファイアンス」展示風景
会場では、1940年代から50年代にかけて制作された手描きの花柄や幾何学模様の作品のほか、プリントと手描きを組み合わせた[カーニバル]シリーズなど、多彩な表現の作品が楽しめます。
暮らしを彩るオブジェ
「アートウェア」は、食卓で使うものとは異なり、マントルピースや本棚を飾るために作られたオブジェです。これらは企業の贈答品や個人のギフトとして、あるいは書棚を飾る装飾品として用いられました。
1953年から1963年にかけて制作された [レプティール] (爬虫類) と1960年に登場した [フィエル] (スケール) では、非対称のしずく型や繊細な曲線を描く花入や鉢が制作されました。
こうしたシリーズの成功は、芸術家スティグ・リンドベリ個人の名声を確立することにもつながっていきました。
こうしたシリーズの成功は、芸術家スティグ・リンドベリ個人の名声を確立することにもつながっていきました。

「第4章 アートウェア」展示風景より、(右)スティグ・リンドベリ[レプティール] (爬虫類)シリーズ/花入 グスタフスベリ磁器工房
フィギュアとユニークな彫刻たち
リンドベリの豊かな想像力から生まれた立体作品も紹介されています。
[スプリンガレ]シリーズの馬や、[動物園]シリーズのクマ・ゾウ・キリンなど、動物や人物をモチーフにしたフィギュア作品は、彼の豊かな想像力を物語っています。
[動物園]シリーズは、のちにリサ・ラーソンにも影響を与えたといわれています。

スティグ・リンドベリ[動物園] シリーズ グスタフスベリ磁器工房
素焼きの白い磁器「パリアーン」と、ざらっとした質感の「炻器(せっき、ストーンウェア)」という対照的な素材を巧みに使い分けている点も見どころです。

「第5章 フィギュリン(人物と動物)」展示風景より、バリアーン(無釉磁器)の作品 (左から)《ふたり》、《小さなイブ》、《ナルシス》、《仮面の男》 いずれもスティグ・リンドベリ、グスタフスベリ磁器工房
リンドベリは彫刻家としても活動していました。
本展では、部分的に釉薬をかけない技法が用いられた、珍しい炻器の彫像が紹介されています。
主に1940年代にグスタフス磁器工房のスタジオで手びねりで制作された 《髪を編んだ女》や、《ラマ》といったユニークピースからは、彼の彫刻家としての確かな才能がうかがえます。

「第6章 ユニークな炻器/ストーンウェアの彫像」展示風景 (手前から)《ラマ》、《髪を編んだ女》 いずれもスティグ・リンドベリ、グスタフスベリ磁器工房
炻器の器(ユニークピース)の変遷
リンドベリはキャリアを通じて、一点ものの炻器の器を制作することを大切にしていました。「炻器の器(ユニークピース)」のセクションでは、時代ごとの彼の作風の変遷をたどることができます。
彼は「釉薬の達人」でもあり、自身のレシピを持つほどでした。
一見シンプルに見える器にも、オックスブラッド(鉄赤釉)や青磁といった扱いの難しい釉薬が用いられ、その革新的な色彩感覚が存分に発揮されています。
彼は「釉薬の達人」でもあり、自身のレシピを持つほどでした。
一見シンプルに見える器にも、オックスブラッド(鉄赤釉)や青磁といった扱いの難しい釉薬が用いられ、その革新的な色彩感覚が存分に発揮されています。

「第7章 ユニークな炻器/ストーンウェアの器」展示風景
テキスタイルの魅力
リンドベリは、テキスタイルの分野でも素晴らしい才能を発揮しました。
1940年代、スウェーデンの大手百貨店のテキスタイル部門責任者であったアストリッド・サンペとの協働により、数々の名作パターンを生み出します。
1940年代、スウェーデンの大手百貨店のテキスタイル部門責任者であったアストリッド・サンペとの協働により、数々の名作パターンを生み出します。
「第8章 テキスタイル」展示風景
これらの仕事の背景には、テキスタイルデザイナーであった妻グンネルの存在がありました。彼女が、リンドベリのデザインを基に手織りしたタペストリーも展示されています。

第8章「テキスタイル」展示風景より、(中央)スティグ・リンドベリ[国王コンスタンティノスとアンナ=マリア王妃]/タペストリー(妻グンネルによって織られた作品)
リンドベリと日本の関係
1959年に初来日した際、彼は日本の伝統的な陶芸だけでなく、伝統の枠を超えて独自の表現を切り拓いていた若手の陶芸家たちの作品に強い興味を抱いたといいます。
会場では、日本の伝統的な天目釉に類似した鉄釉が施された[プレゼント]シリーズ、日本の書道に着想を得た《タイル》など、日本の美意識に触発されて制作した作品が展示されています。

「第9章 スティグ・リンドベリと日本」展示風景
子供のためのデザイン
「第10章 子供のためのデザイン」展示風景
ユーモラスな子供用食器や、チェスやトランプカードなど、遊び心あふれる作品からは、大人の中にある「子ども心」に語りかけるような魅力が感じられます。
ユーモラスな子供用食器や、チェスやトランプカードなど、遊び心あふれる作品からは、大人の中にある「子ども心」に語りかけるような魅力が感じられます。

「第10章 子供のためのデザイン」展示風景
嬉しいことに、本展はすべての展示作品の写真撮影が可能です。ぜひお気に入りの作品を写真に収め、SNSでシェアしてみてください。
リンドベリの初期から晩年までの多彩な作品を通じて、明るくスタイリッシュで、ファンタジーに満ちたデザインの魅力を存分に味わえる展覧会です。
テーブルウェアや彫刻、テキスタイル、子ども向けのデザインまで、20世紀北欧デザインの巨匠が遺した創造の軌跡を、ぜひ会場で体感してください。
【開催概要】
展覧会名:20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展
会期:2025年8月21日(木)〜9月7日(日)
会場:日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール
開場時間:10:30~19:30(最終日は18:00まで。入場は閉場の30分前まで)
休館日:会期中無休
入場料:一般 1,200円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
公式ホームページ:https://www.stiglindberg-exhibition.jp
※2025年9月10日(水)〜9月21日(日)大阪高島屋グランドホールへ巡回
※2025年9月10日(水)〜9月21日(日)大阪高島屋グランドホールへ巡回




