2025年秋、東京・六本木の国立新美術館で、日本のアートシーンが大きく揺れ動いた時代を振り返る注目の展覧会「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」 が開催されます。会期は、2025年9月3日(水)から12月8日(月)まで。


ポスター
昭和が終わり平成が始まった1989年から2010年までの約20年間、世界では冷戦が終わりグローバル化が進みました 。
国立新美術館と香港のM+による協働キュレーションとして行われるこの展覧会では、そんな変化の時代に生まれた日本の美術表現を、国内外50人を超えるのアーティストの実践を通して検証していきます。

M+, Hong Kong Photo: Kitmin Lee Courtesy of M+, Hong Kong
昭和が終わり平成が始まった1989年から2010年までの約20年間、世界では冷戦が終わりグローバル化が進みました 。
国立新美術館と香港のM+による協働キュレーションとして行われるこの展覧会では、そんな変化の時代に生まれた日本の美術表現を、国内外50人を超えるのアーティストの実践を通して検証していきます。

M+, Hong Kong Photo: Kitmin Lee Courtesy of M+, Hong Kong
プロローグ
展覧会は、本編に入る前の「プロローグ」から始まります 。
ナムジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイス《2台ピアノのためのパフォーマンス》|撮影:安齊重男
草月ホール、1984年6月2日【1984年6月2日】
ゼラチン・シルバー・プリント
24.0×29.6cm
国立新美術館ANZAÏフォトアーカイブ
© Estate of Shigeo Anzaï, 1984. Courtesy of ANZAÏ Photo Archive, The National Art Center, Tokyo.
イントロダクション:新たな批評性
続く「イントロダクション:新たな批評性」では、1989年を転換点として登場した、革新的なエネルギーに満ちた表現が紹介されます。
この時代のアーティストたちは、自らのリアルな日常や社会状況を表現に取り込もうとしました 。その手法は多様で、日常的な素材を用い、ポピュラーカルチャーを取り入れるなど、アーティストの等身大の生き方を反映する、視覚的にもインパクトのある作品が登場します。
椿昇《エステティック・ポリューション》1990年
発泡ウレタン、粘土、木(ヤナギ)、塗料他
290×360×270cm
金沢21世紀美術館蔵
©TSUBAKI Noboru. 撮影:斎城卓
画像提供:金沢21世紀美術館

森村泰昌《肖像(双子)》1989年 Cプリント、透明メディウム 210×300cm 所蔵:森美術館、東京 © MORIMURA Yasumasa. 展示撮影:武藤滋生

大竹伸朗《網膜(ワイヤー・ホライズン、タンジェ)》1990-93年 油彩、オイルスティック、ウレタン塗料、樹脂、紙、ホチキス、ハトメ、その他/木製パネル 274×187×20cm 東京国立近代美術館蔵 © Shinro Ohtake. 撮影:大谷一郎
レンズ1:過去という亡霊 ~歴史と向き合うアーティストたちのまなざし
ここから展覧会は、「時代をテーマに基づく章=3つのレンズ」を通して見ていきます 。
最初の「レンズ1:過去という亡霊」では、戦争や核、植民地支配の記憶といった歴史的な課題に、アーティストたちがどのように向き合ったかを探ります。
第二次世界大戦から時を経て、戦後生まれのアーティストたちは、過去の重みを踏まえながら歴史を再考してきました。こうした歴史や社会問題に果敢に取り組んだ試みは、私たちが単一と思っていた歴史に異なる光を当ててくれます。
最初の「レンズ1:過去という亡霊」では、戦争や核、植民地支配の記憶といった歴史的な課題に、アーティストたちがどのように向き合ったかを探ります。
第二次世界大戦から時を経て、戦後生まれのアーティストたちは、過去の重みを踏まえながら歴史を再考してきました。こうした歴史や社会問題に果敢に取り組んだ試みは、私たちが単一と思っていた歴史に異なる光を当ててくれます。
ヤノベケンジは、《アトムスーツ・プロジェクト:保育園1・チェルノブイリ》(1997年)で、核の問題を現代的な視点から捉え直しました 。

ヤノベケンジ《 アトムスーツ・プロジェクト: 保育園1・チェルノブイリ》1997年 ライトボックス、カラー・トランスペアレンシー 120×120×21cm 広島市現代美術館蔵 © Kenji Yanobe. Courtesy of Hiroshima City Museum of Contemporary Art.
山城知佳子の映像作品〈 オキナワTOURIST〉より《I Like Okinawa Sweet》(2004年)や、沖縄の伝統的な染物である紅型(びんがた)を用いた照屋勇賢の《結い、You-I》(2002年)など、沖縄の歴史と現実をテーマにした作品も登場します。

照屋勇賢《結い、You-I》2002年 紅型(顔料、麻) 169.2×149cm 所蔵:森美術館、東京 ©Yuken Teruya. 撮影:木奥惠三
レンズ2:自己と他者と ~多様なアイデンティティの探求
2つ目のレンズ「自己と他者と」では、自他のまなざしの交換の中で、アイデンティティやジェンダー、文化を問う作品が集められます。
洗練された伝統文化と、斬新で奇抜な現代文化が混在する日本は、国内外のアーティストたちを大いに触発しました。この章では、ジェンダーといった慣習や規範に挑戦するテーマを持つ作品から、再解釈された日本文化を映し出す作品まで、多様な角度からアイデンティティを問う試みが紹介されます。
洗練された伝統文化と、斬新で奇抜な現代文化が混在する日本は、国内外のアーティストたちを大いに触発しました。この章では、ジェンダーといった慣習や規範に挑戦するテーマを持つ作品から、再解釈された日本文化を映し出す作品まで、多様な角度からアイデンティティを問う試みが紹介されます。
イ・ブル《受難への遺憾―私はピクニックしている子犬だと思う?》1990年
パフォーマンス記録写真を編集した映像 3分50 秒
作家蔵
© Lee Bul. Courtesy of the artist
レンズ3:コミュニティの持つ未来 ~アートがつなぐ、人と社会の関わり
グローバル化が進む中で、「アーティストは他者とどのように共生できるのか」という課題への取り組みは、様々な形でヒエラルキーをなくし、境界を乗り越える力を生み出しました。
最後のレンズ「コミュニティの持つ未来」では、地域社会や既存のコミュニティとの関わりを模索し、人々と社会の新たなつながりを構築しようとするプロジェクトの可能性が紹介されます。
最後のレンズ「コミュニティの持つ未来」では、地域社会や既存のコミュニティとの関わりを模索し、人々と社会の新たなつながりを構築しようとするプロジェクトの可能性が紹介されます。

西京人《第3章 ようこそ西京に ̶ 西京オリンピック》2008年
ヴィデオ、ミクスト・メディア
映像:35分、他可変
金沢21世紀美術館蔵
© Xijing Men. 撮影:木奥惠三 画像提供:金沢21世紀美術館

小沢剛《ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京》2001年 Cプリント 113.0×156.0cm 国立国際美術館蔵 © Tsuyoshi Ozawa

小沢剛《ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京》2001年 Cプリント 113.0×156.0cm 国立国際美術館蔵 © Tsuyoshi Ozawa

宮島達男《Slash》1990年 発光ダイオード 653×438cm 京都国立近代美術館 Courtesy of The National Museum of Modern Art, Kyoto
展覧会をさらに深く理解するための羅針盤
この時代の美術をより深く理解するために、本展では「11のキーワード」が示されています。
例えば、1970年から30年以上にわたり日本のアートシーンを記録し続けた写真家・安齊重男の資料群「ANZAÏフォトアーカイブ」は、当時の現場の空気を知る手がかりとなります。
また、美術館ではない実験的な展示空間であった「オルタナティヴ・スペース」や、作家の滞在制作を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」は、新しい表現が生まれる土壌となりました。
マンガやアニメの影響を受けた「サブカルチャーと美術」の動向や、ジェンダーの問題に焦点を当てた「フェミニズム」の視点も、この時代を読み解く上で欠かせません。
これらのキーワードは、1989年から2010年という時代の美術を知るための重要な手がかりとなります。
例えば、1970年から30年以上にわたり日本のアートシーンを記録し続けた写真家・安齊重男の資料群「ANZAÏフォトアーカイブ」は、当時の現場の空気を知る手がかりとなります。
また、美術館ではない実験的な展示空間であった「オルタナティヴ・スペース」や、作家の滞在制作を支援する「アーティスト・イン・レジデンス」は、新しい表現が生まれる土壌となりました。
マンガやアニメの影響を受けた「サブカルチャーと美術」の動向や、ジェンダーの問題に焦点を当てた「フェミニズム」の視点も、この時代を読み解く上で欠かせません。
これらのキーワードは、1989年から2010年という時代の美術を知るための重要な手がかりとなります。
また、会期中には出品作家によるアーティスト・トーク(9月13日)やシンポジウム(11月7日)などの関連イベントも予定されています。詳細は美術館のホームページでご確認ください。
時代を映すプリズムを通して、今を見つめる
タイトルの「プリズム」は、1989年から2010年までの日本で生まれた美術表現が、外から来た光をさまざまな色に分解するプリズムのように、時代の複雑な様相を映し出してきたことを意味しています。
変化に富んだ時代の多彩な作品を通して、現代を生きる私たち自身の姿を見つめなおしてみてはどうでしょうか。

© 国立新美術館
【開催概要】
展覧会名: 時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010
会期: 2025年9月3日(水)~2025年12月8日(月)
会場: 国立新美術館 企画展示室1E (〒106-8558東京都港区六本木7-22-2)
開館時間: 10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日: 毎週火曜日 ※ただし9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
観覧料(税込): 一般2,000円、大学生1,000円、高校生500円
※中学生以下は入場無料
※障害者手帳を持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
※中学生以下は入場無料
※障害者手帳を持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料





