2025年の夏、東京・日本橋の髙島屋S.Cにて、「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」が開催されます。
展示作品は、すべてリンドベリの遺品と、家族が所蔵する貴重なプライベートコレクションから構成され、日本初公開の作品も多数含まれます。
これまで日本で紹介される機会のなかった側面も含め、彼の芸術性を改めて発見できる展覧会です。

「H55」展のため告知をするスティグ・リンドベリ、1955 年 ©Stig Lindberg/Bus
スティグ・リンドベリとは?
スティグ・リンドベリ(1916-1982)は、スウェーデンが生んだ陶芸家であり、デザイナーです。20世紀を代表するデザイナーの一人として、その作品は今なお世界中の人々に愛され続けています。
1937年、リンドベリはスウェーデンの高名な陶磁器メーカー、グスタフスベリ社にデザイナーとして入社しました。そこで彼は「機能性とは何か、また調和や美とは何か」を追求し、独創的なアイデアを活かして新しい表現方法に挑戦しました。彼の生み出したデザインは、没後40年以上を経た今も、同社を代表する人気商品となっています。
展覧会は、リンドベリの多彩なデザイン世界を深く理解できるよう、テーマごとに10章で構成されています。
第1章 テーブルウエア(1940-1980年)
第1章では、リンドベリが手掛けた初期の作品から晩年に至るまでのテーブルウエアが紹介されます。[ベルサ]や[プルーヌス]、[サリックス]、[ピンタ]といった著名なシリーズはもちろん、日本ではあまり知られていない[ティング]シリーズなども展示され、彼のデザインの変遷をたどることができます。
![01.[ベルサ]装飾、[LL]モデルディナーセット](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/2/1/21011782-s.jpg)
[ベルサ]装飾、[LL]モデル/ディナーセット 1957 年/モデル、1960 年/装飾
![01.[ベルサ]装飾、[LL]モデルディナーセット](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/2/1/21011782-s.jpg)
[ベルサ]装飾、[LL]モデル/ディナーセット 1957 年/モデル、1960 年/装飾
[ビルカ]装飾、[LT]モデル/ディナーセット 1973 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第2章 H55」(国際建築工業デザイン博覧会)
1955年にスウェーデンのヘルシンボリで開催された国際建築工業デザイン博覧会は、北欧デザインをけん引する役割を果たした歴史的な博覧会でした。第2章では、同展に出品された、[テルマ] [スピーサ・リッブ][コロラド] [ドミノ]シリーズといった炻器(せっき)のテーブルウエアが紹介されます。
![03.[コロラド]装飾、[LA]・[ST]・[WB]モデルディナーセット](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/8/e/8ee46172-s.jpg)
[コロラド]装飾、[LA]・[ST]・[WB]モデル/ディナーセット
![03.[コロラド]装飾、[LA]・[ST]・[WB]モデルディナーセット](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/8/e/8ee46172-s.jpg)
[コロラド]装飾、[LA]・[ST]・[WB]モデル/ディナーセット
1938 年・1944 年・1953 年/モデル、1955 年/装飾・釉薬
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
[テルマ]シリーズ/クッキングセットとスケッチ 1955 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第3章 ファイアンス
第3章は、リンドベリが長年にわたって制作したファイアンス (錫釉陶器) の作品を紹介する主要なセクションです。
1940年代から50年代にかけて制作された、手描きの花柄模様や幾何学模様の作品のほか、1960年前後に制作されたプリントと手描きを組み合わせた装飾が施された[カーニバル]シリーズ、1966年の明快な縞模様の[ファイアンシエン]シリーズなどの作品群が紹介されます。


蓋付花図水差 1940 年代
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第4章 アートウエア
「アートウエア」とは、ディナーテーブル用とは異なり、マントルピースや本棚に置くために作られたオブジェです。リンドベリは、1950年代のエレガントなモノクロの[ヴェックラ]シリーズや[プンゴ]シリーズ、手描きによる銀の装飾が施された[グラーシア]シリーズや[フィリグラーン]シリーズなどのデザインを手がけました。第4章ではリンドベリに愛された非対称な形状と、形と装飾を組み合わせた技術を見ることができます。
シリーズ花入](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/b/b/bb4f1ee1-s.jpg)
シリーズ花入](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/b/b/bb4f1ee1-s.jpg)
[フィエル](スケール)シリーズ/花入 1960 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第5章 フィギュア<人物と動物>
第5章では、[スプリンガレ]シリーズの馬のフィギュアや、[動物園]シリーズのクマやゾウ、キリンといった愛らしい動物など、人物や動物をモチーフにしたフィギュア作品が登場します。小さなフィギュアや彫刻、レリーフからは、彼の豊かな想像力や、様々な素材や製造方法を試したいという願望が感じられます。
![08.[スプリンガレ]シリーズ大きな馬](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/d/a/da4c17f7-s.jpg)
![08.[スプリンガレ]シリーズ大きな馬](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/d/a/da4c17f7-s.jpg)
[スプリンガレ]シリーズ/大きな馬 1958 年
[動物園]シリーズ/クマ、イノシシ、ゾウ、カバ、キリン、サル、セイウチ、バッファロー 1940 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第6章 炻器の彫刻(ユニークピース)
《ラマ》1940 年代 Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第7章 炻器の器(ユニークピース)
リンドベリはそのキャリアを通じて、常に一点ものの炻器の器を大量に製作することを大切にしていました。第7章では、1950年代の細身で優美なパステルカラーの器から、1960年代の牛血紅などを用いた濃色の器、そして1970年代のより重厚で素朴な表現への方向転換に至るまで、リンドベリの炻器の発展をたどります。


《砂時計形花入》、《小鉢》、《飾手付花入》1956-1957 年、1950 年代、1950 年代
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第8章 テキスタイル
第8章ではテキスタイルデザイナーとしての彼の仕事を見ていきます。
リンドベリは、具象的なモチーフであれ、幾何学模様であれ、細やかな構図を作り出すことに長けていました。
この章では、麻やベルベット素材にプリントされたヴィンテージテキスタイルと、2000年代に再版されたパターンの作品に加え、スケッチや妻であるグンネルがリンドベリのデザインに基づいて手織りしたタペストリーも展示されます。
![14.テキスタイル・プリント[プランタン]のための原画](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/f/3/f33b39d6-s.jpg)
テキスタイル・プリント[プランタン]のための原画 1947 年
![14.テキスタイル・プリント[プランタン]のための原画](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/f/3/f33b39d6-s.jpg)
テキスタイル・プリント[プランタン]のための原画 1947 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第9章 スティグ・リンドベリと日本
リンドベリは、1959年の日本への旅行や、グスタフスベリの工場を訪れた日本人デザイナーやビジネスマンを通じて、日本への愛情を育み、多くの日本人と交流を持ちました。第9章では、リンドベリが手元に置いていた日本の品々、日本の美にインスピレーションを得て制作した作品、来日時の写真等が紹介されます。


《ティーポット》1960 年、1965 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
第10章 子供のためのデザイン
リンドベリは様々な分野で子どものためにモダニズムのデザインをする先駆者でした。
[ベイビー]装飾、[SB]モデル/子ども用食器セット 1951 年
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
本展では、初期から晩年までの作品を通して、彼のデザイン世界を存分に楽しむことができます。
この夏、20世紀北欧ミッドセンチュリーデザインの先駆者となったアーティストの魅力を、ぜひ会場で体感してみてください。
この夏、20世紀北欧ミッドセンチュリーデザインの先駆者となったアーティストの魅力を、ぜひ会場で体感してみてください。
【開催概要】
展覧会名 : 20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展
会期 : 2025年8月21日(木)〜9月7日(日)
会場 : 日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール
開場時間 : 10:30~19:30(最終日は18:00まで。入場は閉場の30分前まで)
休館日 : 会期中無休
入場料 : 一般 1,200円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
公式ホームページ : https://www.stiglindberg-exhibition.jp
巡回:2025年9月10⽇(水)~9月21⽇(⽇) ⼤阪髙島屋 7階グランドホール
巡回:2025年9月10⽇(水)~9月21⽇(⽇) ⼤阪髙島屋 7階グランドホール

![02.[ビルカ]装飾、[LT]モデルディナーセット](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/0/c/0c8b419f-s.jpg)
![04.[テルマ]シリーズクッキングセットとスケッチ](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/d/e/de5092b4-s.jpg)
![06.[カーニバル]シリーズフルート奏者と女の花入](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/4/9/4972b912-s.jpg)
![09.[動物園]シリーズクマ、イノシシ、ゾウ、カバ、キリン、サル、セイウチ、バッファロー](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/8/8/88c43204-s.jpg)



![15.《[国王コンスタンティノスとアンナ=マリア王妃] タペストリー](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/7/8/78bc1bc1-s.jpg)

![18.[ベイビー]装飾、[SB]モデル子ども用食器セット](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/2/0/20537bf9-s.jpg)
![19.[コメディア]トランプカード(ダブル)](https://livedoor.blogimg.jp/kaisyuucom/imgs/9/9/99737ab5-s.jpg)