京都市左京区にある泉屋博古館にて、2025年6月21日(土)から8月3日(日)まで、リニューアル記念名品展II「続・帰ってきた泉屋博古館 ~近代の美術、もうひとつの在り方~」が開催されます。
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美術館のリニューアルを記念して開催される本展は、普段は泉屋博古館東京に所蔵されている近代美術の名品が京都に里帰りし、絵画・彫刻・工芸まで幅広いジャンルの作品が紹介されるのが大きな見どころです。
板谷波山、木島櫻谷の代表作に加え、京都ではなかなか見ることのできなかった作品も登場し、名品との久しぶりの出会い、意外な作品との新鮮な出会いが楽しめます。
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板谷波山《葆光彩磁珍果文花瓶》 大正6年(1917) 泉屋博古館東京

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木島櫻谷《燕子花図屏風》 大正6年(1917) 泉屋博古館東京 ※展示期間 6/21~7/21

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北村四海《蔭》 明治44年(1911) 泉屋博古館東京

「展覧会」で映えるには
明治時代、西洋から「展覧会」という仕組みがやってくると、美術の在り方は大きく変化しました。作家たちは大きな会場で不特定の人々に観覧されることを意識し、「大会場映え」する作品を志向するようになります。
住友コレクションには、そうした展覧会で評価された近代美術の王道ともいうべき作品が数多く含まれています。山崎朝雲の《竹林の山濤》、富田范溪の《鰻籠》は、それぞれ第6回文展、第8回文展に出品された作品です。
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山崎朝雲《竹林の山濤》 大正元年(1912) 泉屋博古館東京

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富田范溪《鰻籠》 大正3年(1914) 泉屋博古館東京

類は名作をもって集まる
住友コレクションには、代々の当主が漢籍や東洋の美術に親しんできた伝統が下地となって、文人趣味の作品が多数残されています。中国文化への造詣と憧憬を共通基盤とするグループで楽しまれた作品には、展覧会用の作品とは異なる美意識が見られます。
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岸田劉生《塘芽帖》 昭和3年(1928)頃 泉屋博古館東京 ※頁替えあり

空間を飾る、客人をもてなす
住友家では、屋敷に招いた賓客をもてなすための部屋の装飾品として美術品を収集しました。中には、作家に直接注文する形で制作された作品も含まれています。
作家には展覧会出品のときとは異なり、使用場面を想定しつつ注文主の美意識に呼応していく能力が求められました。注文主も作家の美意識に共感し、支援を重ねることで、双方の間に交流が生まれていたと考えられます。
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板谷波山《彩磁更紗花鳥文花瓶》 大正8年(1919) 泉屋博古館東京

万博開催記念!大阪とのつながりにも注目
大阪と博覧会の関係のはじまりは、明治36年(1903)に大阪で開催された第5回内国勧業博覧会にさかのぼります。
海外からの出品もあり、夜間開場のイルミネーションが話題を呼ぶなど、前例にとらわれないしかけが大きな注目を集めました。この博覧会の成功が、後の万博誘致のきっかけになったとも言われています。
今回の展覧会では、EXPO2025の開催を記念して、第5回内国勧業博覧会に出品された作品も紹介されます。
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河久保正名《海岸燈台ノ図》 明治35年(1902) 泉屋博古館東京

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二代井上良斎《巌上白鷲置物》 明治時代 19世紀 泉屋博古館東京

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三代清風与平《青磁瓜虫彫文花瓶》 明治36年(1903) 泉屋博古館東京

建築にも注目!リニューアルで蘇った往時の姿
泉屋博古館の1号館は、実は1970年の大阪万博開幕に合わせて誕生した施設です。
当時、住友グループは万博会場に「住友童話館」を建設していましたが、それとは別に、いわば「私的パビリオン」として京都・東山の地にこの施設を建設し、今日までほぼ姿を変えずに残ってきました。
今回のリニューアル工事では、より一層開館当初の姿に戻そうと様々な工夫が施されました。往時の万博の熱狂を今に伝える施設として、美術作品だけでなく、その建築美にもぜひ注目してみてください。
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泉屋博古館 外観

本展では、展覧会で評価された大作だけでなく、文人趣味の作品や、屋敷を飾るために制作された作品など、多様な近代美術の魅力を発見できます。リニューアルされた建築にも注目しながら、泉屋博古館で特別なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

【開催概要】
展覧会名:リニューアル記念名品展II「続・帰ってきた泉屋博古館 ~近代の美術、もうひとつの在り方~」
会期:2025年6月21日(土)~8月3日(日)
会場:泉屋博古館
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、7月22日(火) ※7月21日(月・海の日)は開館
入館料:一般1,000円、学生600円、18歳以下無料 
※学生ならびに18歳以下のかたは証明書の提示が必要
泉屋博古館公式サイト:https://sen-oku.or.jp/kyoto/