京都国⽴博物館 平成知新館にて、2025年9⽉20⽇(⼟)から11⽉16⽇(⽇)まで、特別展「宋元仏画―蒼海(うみ)を越えたほとけたち」が開催されます。
本展は、中国の宋‧元時代に制作された仏画を、過去最⼤規模で紹介する京都限定の展覧会です。
出品作の約半数が国宝や重要⽂化財という豪華なラインナップで、「東アジアの最⾼峰」ともいえる宋元仏画の魅⼒に迫ります。
出品作の約半数が国宝や重要⽂化財という豪華なラインナップで、「東アジアの最⾼峰」ともいえる宋元仏画の魅⼒に迫ります。

2つの王朝と「宋元仏画」
中国の宋王朝(960~1279)は、知的エリート層が文化を支え、芸術や学問が大きく発展した時代です。
続く元王朝(1271~1368)は、国際⾊豊かな多⺠族国家として多様な⽂化が花開きました。
続く元王朝(1271~1368)は、国際⾊豊かな多⺠族国家として多様な⽂化が花開きました。
この時代に描かれた宋元仏画は、中国では王朝の交代や信仰の変化で多くが失われましたが、日本では寺院などで大切に守り伝えられてきたため、現存する作品の大半は日本にあると推定されています。
これらの仏画は、礼拝の対象であると同時に、絵師の手本としても用いられ、日本美術にも大きな影響を与えました。
本展では、雪舟、長谷川等伯、俵屋宗達といった日本の巨匠による名作も紹介し、宋元仏画と日本美術との深いつながりについてもひもときます。
本展では、雪舟、長谷川等伯、俵屋宗達といった日本の巨匠による名作も紹介し、宋元仏画と日本美術との深いつながりについてもひもときます。
第1章「宋元文化と日本」
第1章では、日本で高く評価されてきた宋元文化の一端を紹介します。平安時代後期から鎌倉時代にかけて、日本と中国との間では活発な交流が行われ、多くの文物、いわゆる「唐物」がもたらされました。中でも宋元時代の美術品は特に珍重され、室町時代の足利将軍家による唐物コレクション「東山御物」のように、格別の評価を受けながら、今日まで受け継がれています。
足利義満が愛したとされる国宝《秋景冬景山水図》は、余白を生かした詩情豊かな南宋山水画の名品です。


また、愛らしい犬猫の姿を描いた重要文化財《蜀葵遊猫図・萱草遊狗図》は、日本の狩野派も手本としたと伝えられています。


国宝 秋冬山水図 伝徽宗筆 中国・南宋時代 12 世紀 京都・金地院蔵【前期展示】
また、愛らしい犬猫の姿を描いた重要文化財《蜀葵遊猫図・萱草遊狗図》は、日本の狩野派も手本としたと伝えられています。


重要文化財 蜀葵遊猫図・萱葦遊狗図 伝毛益筆 中国・南宋時代 12~13世紀 奈良・大和文華館蔵【前期展示】
第2章「大陸への求法―教えをつなぐ祖師の姿」
続く第2章では、仏教の教えを求めて危険を顧みず海を渡った日本の僧侶たちと、彼らが持ち帰った貴重な仏教美術に焦点を当てます。
国宝《無準師範像》は、無準師範の弟子となった円爾が持ち帰ったもの。師を目前にするかのような写実性の高い表現は、宋代の肖像画としても傑作とされています。


国宝 無準師範像 中国・南宋時代 嘉熙2 年(1238) 京都・東福寺蔵【後期展示】
また、日本僧の俊芿が南宋から持ち帰った重要文化財《道宣律師像》と《元照律師像》(ともに中国・南宋時代 嘉定3年(1210)、京都・泉涌寺、後期展示)、そして俊芿自身の姿を描いた《俊芿律師像》(鎌倉時代 嘉禄3年(1227)、京都・泉涌寺、後期展示)といった、日中仏教交流の歴史を物語る作品も展示されます。
第3章「宋代仏画の諸相―宮廷と地域社会」
宋代は、宮廷を中心に精緻で格調高い仏画が制作される一方で、江南地方などの地域社会でも信仰に基づいた様々な仏画が生み出されました。第3章では、宋代の仏画が宮廷や地域社会でどのように描かれ、信仰されたかを紹介します。
国宝《孔雀明王像》は、毒蛇を食べる孔雀を神格化した孔雀明王を描いた作品です。その圧倒的な表現力は、宋代絵画の到達点の高さを示しています。


国宝 孔雀明王像 中国・北宋時代 11~12世紀 京都・仁和寺蔵【前期展示】
また、南宋時代の《五百羅漢図》は、10年の歳月をかけて制作された大作で、仏事に参加する当時の人々の様子も描きこまれています。

重要文化財 五百羅漢図(勧進五百羅漢) 林庭珪・周季常筆 中国・南宋時代 淳煕5~15年(1178~88) 京都・大徳寺蔵【後期展示】
第4章「牧谿と禅林絵画」
第4章では、日本の水墨画に絶大な影響を与えた牧谿(もっけい)を中心に、宋元時代の禅宗寺院で育まれた禅林絵画の世界に迫ります。牧谿は南宋末から元初にかけて活躍した禅僧画家で、その簡潔ながらも奥深い水墨表現は、日本で特に高く評価されました。
白衣観音と猿、鶴を水墨で描いた、国宝《観音猿鶴図》は、牧谿の最高傑作として名高い名品です。

淡墨とわずかな筆致で、布袋の姿をユーモラスに描き出した《布袋図》(伝牧谿筆、中国・南宋時代 13世紀、京都国立博物館、前期展示)のような作品も登場します。

国宝 観音猿鶴図 牧谿筆 中国・南宋時代 13世紀 京都・大徳寺蔵【後期展示】
淡墨とわずかな筆致で、布袋の姿をユーモラスに描き出した《布袋図》(伝牧谿筆、中国・南宋時代 13世紀、京都国立博物館、前期展示)のような作品も登場します。
第5章「高麗仏画と宋元時代」
宋元時代の文化交流は、朝鮮半島にも及びました。第5章では、高麗(918年~1392)で制作された仏画を紹介します。
修理後初公開の重要文化財《弥勒下生変相図》は、未来仏である弥勒がこの世に下りて人々に説法するようすを描いたもので、王室の画家によって制作された高麗仏画の基準作です。

さらに《水月観音像》などが展示され、高麗仏画の優美で精緻な世界を堪能できます。

重要文化財 弥勒下生変相図 李晟筆 朝鮮半島・高麗時代 至元31年/忠烈王20年(1294) 京都・妙満寺蔵【前期展示】
さらに《水月観音像》などが展示され、高麗仏画の優美で精緻な世界を堪能できます。

水月観音像 朝鮮半島・高麗時代 13~14世紀 奈良・大和文華館蔵【後期展示】
第6章「仏画の周縁―道教・マニ教とのあわい」
第6章では、仏教美術と影響関係にあった道教やマニ教の絵画を取り上げます。
重要文化財《蝦蟇鉄拐図》は、道教の仙人である李鉄拐(りてっかい)と劉海蟾(りゅうかいせん)を描いたものです。こうした仙人画像は日本の寺院にも多く伝来しました。


重要文化財 蝦蟇鉄拐図 顔輝筆 中国・元時代 13~14 世紀 京都・百萬遍知恩寺蔵【前期展示】
第7章「日本美術と宋元仏画」
最後の章では、宋元絵画のモチーフや様式が、日本の画家たちにどのように受容され、独自の表現へと展開していったかを見ていきます。
俵屋宗達筆の国宝《蓮池水禽図》は、牧谿の本質をとらえ、それを宗達独自の感性で昇華させた水墨画の傑作です。

国宝 蓮池水禽図 俵屋宗達筆 京都国立博物館蔵【展示期間10/21~11/2】
宋末から元初にかけて活躍した顔輝のアクの強い人物表現は、日本画壇に大きな影響を与えました。なかでも奇想の画家として知られる曾我蕭白の《群仙図屏風》は、顔輝風の仙人像を取り入れつつ、蕭白ならではの強烈な個性によって、濃密な画面に仕上げられています。


重要文化財 群仙図屏風 曾我蕭白筆 江戸時代 明和元年(1764) 文化庁蔵【前期展示】
さらに、トピック展示として「中国受容と仏像」と「経絵の世界」が設けられ、仏像における中国様式の受容や、経典の冒頭に描かれた絵画(経絵)を通して、東アジアの仏教文化の広がりと深まりを多角的に紹介します。
中国ではほとんど失われた貴重な仏画が、海を越えた日本に伝わる奇跡。
そして、それらが日本の仏教文化や美術に与えた大きな影響を、数々の名品を通してたどることができる、またとない機会です。
この秋は京都で、時空を超えて守り伝えられてきた“ほとけたち”との出会いを、ぜひお楽しみください。
【開催概要】
展覧会名:特別展「宋元仏画-蒼海(うみ)を越えたほとけたち」
会期:2025年9月20日(土)~11月16日(日)
前期:9月20日(土)~10月19日(日)
後期:10月21日(火)~11月16日(日)
※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います。
※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います。
会場:京都国立博物館 平成知新館
開館時間:9:00~17:30(金曜日は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
※ただし、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館し、10月14日(火)、11月4日(火)休館
観覧料:一般2,000円、大学生1,200円、高校生700円
※中学生以下無料(要証明)
※大学生、高校生は学生証の提示が必要



