大阪市立東洋陶磁美術館(MOCO)にて、東アジアの青磁の名品が一堂に集う特別展「CELADON―東アジアの青磁のきらめき」が2025年4月19日から11月24日まで開催されます。
青磁とは、微量の鉄分を含んだ釉色を高温で焼き上げることで、青緑色に発色させた陶磁器です。その美しさと奥深さは、時代や地域ごとに異なり、同じ窯の中でも焼成環境によって色合いが変化するため、世界中で愛され続けてきました。中国・韓国をはじめとする青磁の名品や逸品が一堂に会する本展は、東アジアの陶磁の歴史の中で、燦然と輝く青磁の魅力を堪能できるまたとない機会となります。
第1部「青磁至宝―中国・韓国の青磁の至宝」
第一部では、MOCOコレクションが誇る中国と韓国の青磁の名品が一堂に会します。14世紀、龍泉窯で作られた国宝《飛青磁花生》は、青磁の中でも最高峰の美しさを誇り、その均整の取れた形状と翠色の釉薬、茶褐色の鉄斑が見事に調和しています。


国宝 飛青磁花生元・14世紀/龍泉窯 高 27.4cm、径14.6cm 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田知弘
重要文化財《青磁刻花牡丹唐草文瓶》は、北宋時代に耀州窯で生まれた名品で、深く鋭い彫り技が生む立体感とオリーブグリーンの釉色が織りなす絶妙な美を堪能できます。

重要文化財《青磁刻花牡丹唐草文瓶》は、北宋時代に耀州窯で生まれた名品で、深く鋭い彫り技が生む立体感とオリーブグリーンの釉色が織りなす絶妙な美を堪能できます。

重要文化財 青磁刻花牡丹唐草文瓶 北宋・11-12世紀/耀州窯 高16.8cm、径17.3cm 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田知弘
800年ぶりに大阪で再会した、高麗時代の重要美術品《青磁彫刻童女形水滴》と《青磁彫刻童子形水滴》は、その愛らしい造形が魅力です。

(左)重要美術品 青磁彫刻童女形水滴 高麗・12世紀 高11.2cm、幅6.0cm 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)(右)青磁彫刻童子形水滴 高麗・12世紀 高11.0cm、幅7.3cm 大阪市立東洋陶磁美術館 写真:六田知弘
第2部「翡色玲瓏Ⅰ・Ⅱ―高麗青磁のきらめき」
続いて第2部では、高麗時代の青磁が紹介されます。ヒスイを思わせる「翡色(ひしょく)」が美しい《青磁陽刻菊花文碗》は、五弁の花びらを模した優美な姿が魅力です。

青磁陽刻菊花文碗 高麗・12世紀 高4.9cm、口径11.7cm 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田知弘
ユリの花のような口元と、瓜を模した優美な胴が特徴の《青磁瓜形瓶》は、高麗青磁特有の魅力を存分に感じさせてくれる作品です。

青磁陽刻菊花文碗 高麗・12世紀 高4.9cm、口径11.7cm 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田知弘
ユリの花のような口元と、瓜を模した優美な胴が特徴の《青磁瓜形瓶》は、高麗青磁特有の魅力を存分に感じさせてくれる作品です。
第3部「青磁脈脈―日本の青磁」
第3部では、江戸時代に有田で誕生し、各地へと広まった、日本における青磁の発展とその歴史をたどります。
鍋島藩窯で製作された《青磁染付青海波宝尽文皿》は、青磁の上に染付顔料で描かれた宝尽しの文様が鮮やかに浮かび上がる名品です。
鍋島藩窯で製作された《青磁染付青海波宝尽文皿》は、青磁の上に染付顔料で描かれた宝尽しの文様が鮮やかに浮かび上がる名品です。
青磁獅子形置物 江戸・18-19世紀/鍋島藩窯(伊万里・大川内山窯) 高21.0cm、幅29.0×16.5cm 個人蔵 写真:六田知弘
第4部「青翠如玉Ⅰ・Ⅱ―中国歴代の青磁」
第4部では、中国歴代の青磁が一堂に集結します。越窯、耀州窯、汝窯、南宋官窯、龍泉窯といった名窯から生まれた名品がずらりと並びます。
青磁水仙盆 北宋・11世紀末-12世紀初/汝窯 高5.6cm、幅22.0×15.5㎝ 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田和弘
南宋時代の龍泉窯で作られた《青磁管耳瓶》は、今回初公開。古代青銅器を模した造形と、南宋特有の粉青色が美しい作品です。
特別展示と特別企画にも注目!
特別展示では、宋代に流行した喫茶用の黒釉茶碗の最高級品である国宝《油滴天目茶碗》や、虎とカササギという吉祥文様が描かれた、朝鮮時代の《青花虎鵲文壺》もご覧いただけます。

国宝油滴天目茶碗 南宋・12-13世紀/建窯 高7.5cm、口径12.2cm 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田知弘

青花虎鵲文壺 朝鮮・18世紀後半 高44.1cm、径34.2cm 大阪市立東洋陶磁美術館 (住友グループ寄贈/安宅コレクション) 写真:六田知弘
またMOCOコレクションを代表するお宝ベスト20を、大阪・関西万博を記念した特別企画「大阪の宝―MOCO の宝20選」として、特別展や特別展示、コレクション展で見ることができます。皆さんが「ベスト」と感じる作品を探しながら鑑賞してみてください。
MOCOコレクションの青磁の名品が集う本展は、青磁の多彩で奥深い魅力を存分に味わえる貴重な機会です。東アジアの青磁が織りなす豊かな表情を、ぜひ会場でご覧ください。
【開催概要】
展覧会名:特別展「CELADON―東アジアの青磁のきらめき」
会期:2025年4月19日(土)~11月24日(月・振替休日)
会場:大阪市立東洋陶磁美術館
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日、5/7(水)、7/22(火)、9/16(火)、10/14(火)、11/4(火)
※但し、祝日の5/5(月)、7/21(月)、8/11(月)、9/15(月)、10/13(月)、11/3(月)、
※但し、祝日の5/5(月)、7/21(月)、8/11(月)、9/15(月)、10/13(月)、11/3(月)、
および4/28(月)、8/12(火)は開館
入館料:一般2,000円、高校生・大学生800円
※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1 名を含む)、大阪市内在住の65 歳以上の方(要証明)は無料
[大阪市立東洋陶磁美術館公式サイト]https://www.moco.or.jp