大阪市立美術館が所蔵する《物語下絵料紙 金光明経 巻第二》が新たに国宝に指定されることが決まりました。この作品は、現在開催中のリニューアルオープン記念特別展「What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」にて、3月25日(火)から30日(日)まで6日間限定で特別展示されます。
今回は、この新国宝の魅力やどんな作品なのかを、わかりやすくお伝えします。
《物語下絵料紙 金光明経 巻第二》ってどんな作品?
この経典は、平安時代の終わりから鎌倉時代のはじめ、1192年(建久3年)に作られたものです。「金光明経」という仏教の経典の第2巻で、後白河法皇が亡くなった際、その追善供養のために書かれたとされています。


《物語下絵料紙 金光明経 巻第二》(部分) 鎌倉時代・建久3年(1192) 大阪市立美術館蔵
特に注目すべきは、法皇が生前に関与していた絵巻の料紙が転用されたとみられ、経文の下に物語絵らしき描写(彩色前の下絵)が描かれていることです。 下絵では、吹抜屋台(ふきぬきやたい)の邸宅の内外にいるらしき貴族や僧侶の姿が確認できますが、物語の内容はわかっていません。
《物語下絵料紙 金光明経 巻第二》(部分拡大) 鎌倉時代・建久3年(1192) 大阪市立美術館蔵
この経典は全部で4巻あり、京都国立博物館と大東急記念文庫所蔵の2巻はすでに国宝です。大阪市立美術館のものは奥書がなく、途中6紙を欠いていますが、物語の場面が4巻の中で一番多く、質・量ともに国宝の2巻に匹敵するとして、特に高く評価されました。
リニューアルオープン記念特別展「What’s New!」について
「What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」は、美術館のリニューアルオープンを記念して開催されている展覧会です。館内の全フロアを特別展会場として使用し、絵画や書跡、彫刻、漆工、陶磁など、多彩なジャンルの名品約250件が一堂に会しています。 新たに目玉となる《物語下絵料紙 金光明経 巻第二》は、第1展示室にて特別展示されます。
展覧会の詳細は以下のレポートをご覧ください。
今回、《物語下絵料紙 金光明経 巻第二》が新たに展示に加わることで、この展覧会はさらに注目度が高まりそうです。会期末まであとわずか。この貴重な機会に、リニューアルした大阪市立美術館とともに、大阪市立美術館が持つ「変わらぬ魅力」と「新たな魅力」を堪能してみてはどうでしょうか。
【開催概要】
展覧会名:リニューアルオープン記念特別展「What's New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」
会期:2025年3月1日(土)~3月30日(日)※会期中一部展示替えあり
会場:大阪市立美術館(天王寺公園内)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館(観覧)料:一般1,800円/高大生1,200円/中学生以下、障がい者手帳お持ちの方(介護者1名含む)無料(要証明)
公式ホームページ:https://www.osaka-art-museum.jp/