京都・相国寺承天閣美術館で、2025年3月8日から6月22日まで「畠中光享 日本画展 清浄光明を描く」が開催されます。

奈良の寺院に生まれた畠中光享は、100回以上インドを訪れ、インドの仏伝(釈尊の伝記および思想)をテーマに創作を行っている日本画家・インド美術研究者です。
仏教の本質に迫ろうと制作を続ける畠中の創作活動の集大成となるこの展覧会では、I期(3/8-4/20)とII期(4/23-6/22)にわかれ、展示替えを含め約80点の作品が展示されます。
今回の展覧会では2024年制作の新作14点を含む大作が並びます。また禅寺での開催ということで、展覧会のために制作した2点の達磨図が登場。《禅定達磨》(通期展示)では、坐禅する達磨大師の内面の静寂を見事に描き出しています。

《禅定達磨》2024年 通期展示
《東本願寺 御門首側襖絵 成道聖地遥拝》(I期展示)は、通常非公開の御休息所に奉納された襖絵。釈迦が悟り(=成道)を開いた聖地・ブッダガヤの夕景を、ガンジス河の支流・尼蓮禅河の対岸から望み、神秘的に描いた大作です。

《東本願寺 御門首側襖絵 成道聖地遥拝》(部分)2018年 東本願寺蔵 Ⅰ期展示
鮮やかな色彩と細密な線描が特徴の《バナナ供養(ケーラパーリ)》(通期展示)は、バナナの葉が織りなす大胆な構図に目を奪われます。

《バナナ供養(ケーラパーリ)》(部分)2023年 通期展示
《一灯》(II期展示)では、ブッダガヤの夜を埋め尽くす無数の灯明の様子を描いたもの。富裕層の豪華な灯明と貧者の小さな灯りが等しく輝くさまが、細やかな筆致で再現されています。


《一灯》2015年 Ⅱ期展示
1973年の初期作品《食》(II期展示)は、作家がインド渡航前に描いた貴重な自画像シリーズの一点です。

《食》1973年 Ⅱ期展示
新作《悲しみの刻》(I期展示)は、深い藍色を基調にした戦争をテーマにした作品。

《濁水に汚されない蓮のように》(部分)2014年 Ⅰ期展示
会期中には作家自身によるギャラリートークや、講演会も開催される予定です。詳細は相国寺承天閣美術館公式サイトにてご確認ください。
伝統的な日本画の技法にインド美術のエッセンスを溶け込ませた畠中の作品は、観る者の心を浄化するかのような魅力にあふれています。静寂に包まれた禅寺の空間で、作家の軌跡をたどりながら、細やかな線描と鮮やかな色彩が織りなす美の世界に向き合ってみてはいかがでしょうか。
【開催概要】
展覧会名:畠中光享 日本画展 清浄光明を描く
会期:Ⅰ期 2025年3月8日(土)~4月20日(日)/Ⅱ期 4月23日(水)~6月22日(日)
休館日:4月21日(月)、4月22日(火)
開館時間:10:00~17:00(入館16:30まで)
会場:相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入)
観覧料:大人1,000円、大学生600円、中高生300円、小学生200円
相国寺承天閣美術館公式サイト:https://www.shokoku-ji.jp/museum