今年も見ごたえのある展覧会にたくさん出会うことができました。年末に個人的に今年の展覧会ベスト10をまとめてみました。順不同でご紹介します。
「中尊寺金色堂展」(東京国立博物館)2024年1月23日~4月14日
中尊寺金色堂の建立900年を記念した特別展。金色堂内部の国宝の仏像11体が一堂に展示され、普段は遠くからしか見られない仏像を間近で鑑賞できる貴重な機会となりました。8KCGによる金色堂内部の原寸大再現映像も圧巻でした。
「円空」(あべのハルカス美術館)2024年2月2日~4月7日
江戸時代の僧・円空の大規模な回顧展。素朴で力強い表現の仏像が印象的でした。円空の生涯や制作の背景も詳しく紹介され、その精神性にも触れることができました。「円空」展は、2月から東京・三井記念美術館でも開催されます。
「雪舟伝説ー「画聖」の誕生ー」(京都国立博物館)2024年4月13日~5月26日
雪舟の国宝6点を含む代表作が一堂に会した贅沢な展覧会。また、雪舟に影響を受けた後世の画家たちの作品も展示され、日本美術史における雪舟の重要性を改めて実感しました。
「空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界」(奈良国立博物館)2024年4月13日~6月9日
空海の生誕1250年を記念した特別展で、空海が日本にもたらした密教の全貌を、貴重な仏像や仏画を通じて多角的に紹介。
特に、マンダラの世界観を立体的に表現した展示は圧巻で、空海の思想の奥深さを感じられる展覧会でした。
特に、マンダラの世界観を立体的に表現した展示は圧巻で、空海の思想の奥深さを感じられる展覧会でした。
「福田平八郎」(大分県立美術館)2024年5月18日~7月15日
日本画家・福田平八郎の没後50年を記念した回顧展で、代表作《漣》をはじめ、写実的な初期作品から晩年の装飾的な作品まで展示され、その画業の全貌をたどることができました。平八郎独自の「写実に基づく装飾画」の魅力を改めて再認識することができました。
「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」(国立西洋美術館)2024年6月11日~8月25日
中世ヨーロッパの聖書や詩編集など、精緻な装飾が施された写本の数々に目を奪われました。文字と絵が一体となった中世の書物芸術の世界に浸ることができました。
「眼福」(静嘉堂文庫美術館)2024年9月10日~11月4日
静嘉堂が所蔵する茶道具の名品を付属品も含めて一挙公開する展覧会。国宝《曜変天目》をはじめ、将軍家や大名家旧蔵の逸品が並び、茶の湯の美意識と歴史を感じられる贅沢な展示でした。
「禅寺の茶の湯」(相国寺承天閣美術館)2024年9月14日~2月2日
禅寺と茶の湯の深い関係性に焦点を当てた特別展。国宝1件、重要文化財6件を含む約200点の茶道具や美術品が展示され、国宝《玳玻散花文天目茶碗》や初公開作品など、禅の精神が息づく茶道具の数々に魅了されました。茶会記とともに、そこに記載の什物や茶道具の名品をあわせて鑑賞でき、禅と茶の湯の深いつながりを感じられる展示でした。現在、後期展示が開催中です(年末年始休館)。
「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」(東京都美術館)2024年9月19日~12月1日
日本画家・田中一村の大規模な回顧展。幼少期から晩年までの作品300点以上が展示され、一村の生涯と芸術に対する情熱が伝わってくる展示内容でした。近年発見された作品も多数展示され、知られざる一村の軌跡もたどることができましたが、なんといっても奄美大島で描かれた《不喰芋と蘇鐵》や《アダンの海辺》などの作品群は圧巻でした。
「はにわ展」(東京国立博物館)2024年10月16日~12月8日
人物や動物をかたどった埴輪、武具や家をかたどった埴輪など、バラエティ豊かな埴輪の名品が全国から集結し、その魅力を存分に味わえました。展示を通して古代の人々の暮らしや信仰、そして芸術性を身近に感じることができました。