兵庫県立美術館で、2025年3月29日(土)から5月25日(日)まで、「パウル・クレー展――創造をめぐる星座」が開催されます。20世紀を代表する芸術家パウル・クレー(1879-1940)の魅力に迫る、待望の展覧会です。

クレーは孤高の芸術家というイメージがありますが、実際には多くの仲間と刺激を与え合いながら創作活動を行っていました。本展では、クレーと交流のあった芸術家の作品との比較や、当時の貴重な資料を参照しながら、多くの人や情報が構成する星座=コンステレーションのなかでクレーを捉え直し、その創造の軌跡をたどります。
詩と絵画
展覧会は6つの章で構成され、クレーの芸術人生を時代順にたどります。第1章「詩と絵画」では、ミュンヘンのアカデミーで学び、青騎士の芸術家たちと出会うまでの、クレーの初期の作品が紹介されます。
パウル・クレー《リリー》1905年 パウル・クレー・センター(リヴィア・クレー寄贈品)色彩の発見
第2章「色彩の発見」では、クレーの芸術の転機となった、パリとチュニジアへ旅した時期の作品を取り上げます。1914年の《チュニスの赤い家と黄色い家》は、鮮やかな色彩で南国の風景を表現しています。この時期、クレーは色彩に目覚め、独自の表現を模索し始めました。ここではピカソ、ブラックらの作品も紹介されます。

パウル・クレー《チュニスの赤い家と黄色い家》1914年 パウル・クレー・センター
破壊と希望
第3章「破壊と希望」では、第一次世界大戦がクレーに与えた影響を探ります。この時期、戦争への批判的な態度を強めたクレーは、自作の切断と再構成を実践します。1916年の《紫と黄色の運命の響きと二つの球》は、この時期の代表作の一つです。

パウル・クレー《紫と黄色の運命の響きと二つの球》1916年 宮城県美術館 ※4月27日まで展示
シュルレアリスム
第4章「シュルレアリスム」では、クレーとシュルレアリスムの関係に焦点を当てます。クレーは「シュルレアリスム宣言」でその先駆者のひとりとされました。

パウル・クレー《熱帯の花》1920年 パウル・クレー・センター
バウハウス
第5章「バウハウス」では、クレーがバウハウスのマイスターとして活躍した時期を紹介します。ここではクレーの造形論を紹介し、クレーにおける構成主義的な傾向の影響を探ります。

パウル・クレー《北方のフローラのハーモニー》1927年 パウル・クレー・センター(リヴィア・クレー寄贈品)
新たな始まり
最後の第6章「新たな始まり」では、ナチス政権下でクレーが直面した困難と、その時代の危機的状況を紹介します。

パウル・クレー《腰かける子ども》1933年 宇都宮美術館 ※4月29日から展示
本展では、ほかにもクレーの代表作が多数展示されます。

パウル・クレー《蛾の踊り》1923年 愛知県美術館

パウル・クレー《赤、黄、青、⽩、⿊の⻑方形によるハーモニー》1923年 パウル・クレー・センター
展覧会期間中は、学芸員による解説会やミュージアム・ボランティアによる解説会など、さまざまなイベントが予定されています。展覧会のナビゲーターを務める声優・歌手の伊東健人さんによる音声ガイドも用意されており、作品鑑賞をより深く楽しむことができます。
本展は、兵庫県立美術館では10年ぶりに開催されるクレー展となります。今もなお、芸術の星座の中で輝き続けるクレーの作品の魅力を、ぜひ会場で確かめてみてください。
【開催概要】
展覧会名:パウル・クレー展――創造をめぐる星座
会期:2025年3月29日(土)~5月25日(日)
会場:兵庫県立美術館
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし5月5日〔月・祝〕は開館、5月7日〔水〕は休館)
観覧料:一般 2,000円(1,600円)、大学生 1,500円(1,200円)、70歳以上 1,000円(800円)
高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳等をお持ちの方は、一般 500円(400円)、大学生 350円(300円)、介助者1名は無料
公式ホームページ:https://www.ktv.jp/event/paulklee/