東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)では、2025年度に4つの魅力的な展覧会が開催されます。

「黒の奇跡・曜変天目の秘密」(2025年4月5日~6月22日)では、世界に3点しか現存しないうちの1点、曜変天目(稲葉天目)を中心に、黒の芸術の魅力を探ります。
曜変天目は、12~13世紀の南宋時代に作られた中国陶磁の至宝です。漆黒の釉薬に浮かぶ虹色の光彩による謎めいた美しさが、多くの人々を魅了し続けています。この展覧会では、中国と日本の黒いやきものの歴史をたどりつつ、最新の研究成果をもとに、曜変天目が秘めるさまざまな謎と秘密にも迫ります。
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国宝《曜変天目(稲葉天目))南宋時代 (12~13世紀)

展示では、国宝《曜変天目(稲葉天目)》をはじめ、《黒釉線彫蓮唐草文梅瓶》、重要文化財の野々村仁清《色絵吉野山図茶壺》など、黒を基調とした様々な工芸品を紹介。
刀剣や鉄鐔などの「黒鉄(くろがね)」と呼ばれる鉄の工芸品や、「漆黒」の漆芸品も展示されます。
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《黒釉線彫蓮唐草文梅瓶》金~元時代 (13~14世紀)

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重要文化財 野々村仁清 《色絵吉野山図茶壺》江戸時代 (17世紀)

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1_4_2_小倉巻柄半太刀拵(源清麿刀付属)1200dpiトリミング済み
重要美術品 源清麿《刀 銘 源清麿/弘化丁未年八月日》江戸時代・弘化4年(1848)


「絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ」(2025年7月5日~9月23日、前期7/5~8/11 後期8/13~9/23 前後期総入替)は、古美術に描かれた神仏や人物像を楽しく学べる展覧会です。
物語や和歌を主題としたやまと絵に描かれた人物、神さまを表現した絵、禅宗の人々を中心に愛好された道教や仏教の偉いお坊さんなどを描いた絵、中国の故事を題材にした絵など、展示内容は多岐にわたります。
「この人は誰?」「このポーズの意味は?」「何をしているところ?」といった疑問に答えながら、神仏と人物が表されるときの約束事や背景にあるストーリーをやさしく紐解いていきます。
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重要美術品 《春日宮曼荼羅》南北朝時代 (14世紀)

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重要美術品 《春日宮曼荼羅》部分 南北朝時代 (14世紀)

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国宝 因陀羅 《禅機図》元時代(14世紀)

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重要文化財 《聖徳太子絵伝》鎌倉時代 (14世紀)

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重要文化財 《聖徳太子絵伝》部分 鎌倉時代 (14世紀)

「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催記念 修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」(2025年10月4日~12月21日)は、静嘉堂の東洋絵画の逸品が一堂に会する特別展です。
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国宝 伝馬遠 《風雨山水図》南宋時代(13世紀)

大阪・関西万博2025にちなみ、パリ万国博覧会(1900年)など、20世紀初頭の博覧会に出品された岩﨑家所蔵の光琳派や肉筆浮世絵、近代絵画など、国宝1件、重要文化財13件、博覧会出品作10件余りを一挙公開。展示を通じて、日本美術が世界に紹介された歴史を振り返ることができます。また注目なのは、修理後初公開となる重要文化財9件と重要美術品2件です。これらはいずれも室町時代の屏風や中国宋・元時代の貴重な作品で、筆墨の美や見事な自然描写を堪能できます。
菊池容斎の《馮昭儀当逸熊図》など「未来の国宝」候補も登場します。
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菊池容斎 《馮昭儀当逸熊図》天保12年(1841)

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重要文化財 式部輝忠 《四季山水図屏風》室町時代(16世紀) 修理後初公開

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石黒是美 《花鳥図 大小鐔 三所物》江戸時代(19世紀) パリ万国博覧会(1900年)出品

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宮川長春 《形見の駒図》江戸時代 (18世紀) 日英博覧会(1910年)出品


仏像のなかには、武装して目をいからせ、怒った表情を見せるものがあります。こうした仏像は、何のために、何とたたかっているのでしょうか。あるいは、何を護っているのでしょうか?「たたかう仏像」(2026年1月2日~3月22日)は、浄瑠璃寺旧蔵の十二神将立像(重要文化財)を中心に、武士と「たたかう仏像」の関係に焦点をあて、神将像の鎧のルーツである中国・唐時代の神将俑を丸の内で初公開するほか、仏教絵画や刀剣等に表される多様な仏像の姿を紹介する展覧会です。
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重要文化財 《木造十二神将立像のうち寅神像》鎌倉時代・安貞2年 (1228年)頃

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《加彩神将立像》唐時代(7~8世紀)

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《毘沙門天像》鎌倉時代(13世紀)

※文中で紹介した作品は、すべて静嘉堂文庫美術館所蔵
【開催概要】
会期:2025年4月5日~2026年3月22日(展覧会ごとに異なる)
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)※夜間開館あり。HPの展覧会ページをご確認ください
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し翌火曜日休館)、展示替え期間、年末年始など
入館料:一般1,500円、大高生1,000円、中学生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方700円(同伴者1名無料)
公式ホームページ:https://www.seikado.or.jp