泉屋博古館東京(東京都港区六本木)の2025年展覧会スケジュールが発表されました。2025年1月25日から12月21日まで、日本美術の粋や世界的な陶磁器の名品などをテーマにした5つの魅力的な展覧会が開催されます。

企画展「花器のある風景」*同時開催:受贈記念「大郷理明コレクションの花器」
2025年1月25日(土)~3月16日(日)
新春を彩る企画展「花器のある風景」は、1月25日から3月16日まで開催されます。
日本の花器の歴史は、中国から寺院の荘厳具として伝来したことに始まります。室町時代には、室内芸能の発展に伴い、中国からの唐物を用いた「座敷飾り」が発展しました。
中世以降、日本でも陶磁器や竹など様々な素材で花器が作られ、独自の美意識が生まれます。江戸時代には、小堀遠州や松平不昧といった茶人による個性豊かな竹花入なども登場しました。
本展では、住友コレクションから花器と花器が描かれた絵画を紹介するとともに、華道家・大郷理明氏から寄贈された花器コレクションも同時に展示されます。
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原在中・在明《春花図》江戸時代後期・19世紀 泉屋博古館

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《古銅象耳花入 銘 キネナリ》元時代・14世紀 泉屋博古館東京

企画展「ライトアップ木島櫻谷Ⅱ―おうこくの線をさがしに 併設四季連作屏風」
*同時開催:特集展示「住友財団助成による文化財修復成果―文化財よ、永遠に2025」
2025年4月5日(土)~5月18日(日)
4月5日から5月18日まで開催される「ライトアップ木島櫻谷Ⅱ」は、住友家本邸のために制作された木島櫻谷の「四季連作屏風」を全点公開する企画の第2回目です。今回の展示では、櫻谷の人物画にも焦点が当てられます。また、櫻谷の創作プロセスを理解するための貴重な資料である写生帖の展示を増やし、写生がどのように作品に反映されているかを紹介します。さらに、公益財団法人住友財団の文化財維持・修復事業助成によって修復された作品も展示され、文化財修復の最新の取り組みを紹介します。
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木島櫻谷《秋草図》大正12年(1923) 泉屋博古館東京

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木島櫻谷《唐美人》大正時代・20世紀 泉屋博古館東京

企画展「中国古代の神話とデザイン」(仮)
2025年6月7日(土)~7月27日(日)
6月7日から7月27日まで開催される「中国古代の神話とデザイン」では、さまざまな文様やモチーフがあらわされた住友コレクションの青銅鏡を中心に、古代中国の神話世界や伝説が日本文化や美術にどのような影響を与えたかを探ります。《鴟鴞尊》は、殷後期(紀元前13-12世紀)の作品です。フクロウの形をした酒器で、当時の人々の豊かな世界観がうかがえます。
重要文化財に指定されている《画文帯同向式神獣鏡》は、後漢末から三国時代(3世紀)の作品で、鏡の裏面に神獣が描かれています。
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《鴟鴞尊》殷後期・前13-前12世紀 泉屋博古館

【重文】画文帯同向式神獣鏡
重要文化財《画文帯同向式神獣鏡》後漢末~三国・3世紀 泉屋博古館

特別展「現代マイセンの磁器芸術―巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語―」(仮)
2025年8月30日(土)~11月3日 (月・祝)
(巡回:2026年度以降、全国3~4会場巡回予定)
8月30日から11月3日まで開催される「現代マイセンの磁器芸術」は、ドイツの名窯マイセンの現代作品を紹介する特別展です。マイセンは18世紀にドイツで創業し、ヨーロッパ初の磁器焼成に成功した王立磁器製作所です。日本では初期の製品が人気を集めてきましたが、1960年頃からの「現代マイセン」にも優れたものが多く存在し、磁器芸術と呼ぶにふさわしい質の高さを誇ります。本展では、《アラビアンナイト》《真夏の夜の夢(サマーナイト)》《ほら吹き男爵》などの物語シリーズを生み出した巨匠ハインツ・ヴェルナーの作品を中心に、夢あふれるデザインと美しい絵付けの世界を紹介します。
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マイセン《アラビアンナイト》コーヒーサービス 1967年頃 装飾 ハインツ・ヴェルナー 器形 ルードヴィッヒ・ツェプナー 個人蔵 *部分図

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マイセン《アラビアンナイト》コーヒーサービス 1967年頃 装飾 ハインツ・ヴェルナー 器形 ルードヴィッヒ・ツェプナー  個人蔵

企画展「もてなす美―能と茶のつどい」
2025年11月22日(土)~12月21日(日)
年末には「もてなす美―能と茶のつどい」が、11月22日から12月21日まで開催されます。
住友家の当主たちは、能楽や茶の湯を通じて交流関係を築いてきました。15代当主・春翠は、能楽師・大西亮太郎の協力を得て、優れた能や茶道具のコレクションを形成しました。大西は春翠の能の師であり、茶会の友でもあり、大正期の茶会にも参加しています。残された茶会記からは、春翠の美意識をうかがい知ることができます。
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《紅白萌黄段青海波笹梅枝垂桜模様唐織》江戸時代・18世紀 泉屋博古館東京

E438-5810
《小井戸茶碗 銘 筑波山》朝鮮時代・16世紀 泉屋博古館東京

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原羊遊斎《椿蒔絵棗》江戸時代・19世紀 泉屋博古館東京

【開催概要】
会場:泉屋博古館東京
住所: 東京都港区六本木1丁目5番地1号 
時間:11:00-18:00(入館は17:30まで)※金曜日は19:00まで(入館は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間中、年末年始
泉屋博古館東京 公式サイト:https://sen-oku.or.jp/tokyo/