「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」が、京都国立近代美術館にて2025年7月19日(土)から9月15日(月・祝)まで開催されます。
本展では、日本の伝統衣装であるきものの魅力とデザインの背景を紹介しながら、これまでにない新しい視点で「きもののヒミツ」に迫ります。

江戸時代のきもの
展覧会は4つの章で構成され、第1章では江戸時代を中心とするきものと雛形本(江戸時代のファッションブック)が紹介されます。
江戸時代、小袖が現代のきもののように着用されるようになります。当時の人々は、小袖に美しい模様をつけて楽しんでいました。「雛形本」と呼ばれる、きものの見本帳には、きものの形や模様、色使いなどが細かく描かれており、当時の流行をかいま見ることができます。
01_≪白綸子地立木薔薇文様小袖≫江戸時代後期(19世紀初期)株式会社千總ホールディングス蔵 京都国立近代美術館展示
≪白綸子地立木薔薇文様小袖≫江戸時代後期(19世紀初期) 株式会社千總ホールディングス蔵

京都画壇と染織図案
明治時代に入ると、きものの世界に大きな変化が訪れます。日本画家たちとの協働によって、新たな染織図案が生み出され、多くの斬新な意匠が登場しました。
第2章では、円山応挙の《写生図巻》や、岸竹堂の《大津唐崎図》など、京都画壇の日本画家たちによる作品や、彼らが下絵を手がけた染織品が紹介されます。
03_≪御簾に菊文様型友禅染裂≫幸野楳嶺下絵 1890年 株式会社千總ホールディングス蔵
幸野楳嶺下絵≪御簾に大菊文様友禅染裂≫ 1890年株式会 社千總ホールディングス蔵

04_重要文化財 円山応挙≪写生図巻 甲巻≫(部分)1771-72年 株式会社千總ホールディングス蔵
重要文化財円山応挙≪写生図巻甲巻≫(部分)1771-72年 株式会社千總ホールディングス蔵

図案から染織品へ
第3章では、図案がどのようにして実際のきものになっていくか、その過程に着目。近代の肉筆染織図案と、それをもとに制作されたきものの裂地などを展示し、下絵や図案が染織品に変わる過程を見ていきます。また染織図案の流行と共通する作風の、近代工芸の優品もあわせて紹介されます。
05_神坂雪佳≪草花図≫20世紀初頭
神坂雪佳≪草花図≫明治時代末期ー大正時代初期(20世紀初頭) 株式会社千總ホールディングス蔵

06_≪型友禅染 光琳百花≫1935年 株式会社千總ホールディングス蔵
神坂雪佳下絵≪光琳百花文様友禅染裂≫1935年 株式会社千總ホールディングス蔵

現代に生きるきもの
最後の第4章は、人間国宝による作品とその資料で構成され、現代まで続くきもの制作について見ていきます。この章は、三代田畑喜八の《一越縮緬地鳳凰桐文振袖》や、森口華弘の《友禅訪問着「彩華」》など、伝統を守りながらも新しい表現を追求する作家の優品が紹介されます。

日本の美を再発見
江戸時代から現代までのきものを通して、日本の美意識の変化をたどることができる本展は、きものに興味がある人はもちろん、日本美術やデザインに関心のある人にもおすすめです。さまざまな角度からきものの魅力に迫る展覧会に、ぜひ足を運んでみてください。

【開催情報】
会場:京都国立近代美術館
会期: 2025年7月19日(土)~9月15日(月・祝)
休館日: 月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
詳細は後日告知