斬新な色と形による表現を追求した福田平八郎(1892-1974)。デザインセンスに溢れる独特の作風は、今日まで多くの人の心をつかんでいます。平八郎の没後50年を迎える2024年、東京・広尾の山種美術館では、12年ぶりに平八郎をテーマとした展覧会が開催されます。
初期から晩年までの名品が集結
大分に生まれた福田平八郎は、京都市立美術工芸学校および絵画専門学校で学び、1919(大正8)年には帝展に初入選を果たしました。大正期はモティーフを入念に観察し、写実的に表した作品を制作していましたが、昭和に入ると、単純な色面と大胆な構図による独自の芸術を確立していきます。
大分に生まれた福田平八郎は、京都市立美術工芸学校および絵画専門学校で学び、1919(大正8)年には帝展に初入選を果たしました。大正期はモティーフを入念に観察し、写実的に表した作品を制作していましたが、昭和に入ると、単純な色面と大胆な構図による独自の芸術を確立していきます。
本展では、大正期の代表作の一つである《牡丹》から、造形の特徴を見事にとらえた筍とデザイン的な竹の葉を組み合わせた《筍》、大胆なトリミングが魅力的な《芥子花》をはじめ、丸みを帯びた餅と直線的な形の折り鶴との対比が見どころの《紅白餅三鶴》(個人蔵)、絶筆とされる《彩秋遊鷽》(個人蔵)まで、初期から晩年までの作品で彼の画風の変遷をたどります。

福田平八郎《牡丹》1924(大正13)年 絹本・彩色 山種美術館

福田平八郎《筍》1947(昭和22)年 絹本・彩色 山種美術館

福田平八郎《芥子花》1940(昭和15)年頃 紙本・彩色 山種美術館

福田平八郎《紅白餅三鶴》1960(昭和35)年頃 紙本・彩色 個人蔵
影響を与えた琳派にも着目
本展では、平八郎に影響を与えた古典として琳派にも着目します。デザインセンスが光る伝 俵屋宗達《槙楓図》をはじめ、装飾的な画面構成と緻密な描写を融合させた酒井抱一《秋草鶉図》【重要美術品】や、鈴木其一《四季花鳥図》など、平八郎も愛した多彩な琳派の名品が勢ぞろいします。さらに、近代・現代の名だたる画家よる琳派を意識した名品や、日本画家・安田靫彦旧蔵の俵屋宗達《狗子図》(個人蔵)も登場する貴重な機会となります。
自身の作風を「写実を基本にした装飾画」と語った福田平八郎と、意匠性や装飾性に富んだ 江戸時代の琳派。この機会に時空を超えて響き合う美の競演を楽しんでみてはどうでしょうか。
※所蔵先表記のない作品は、すべて山種美術館蔵 。【開催概要】
会期:2024年9月29日(日)~2024年12月8日(日)
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日、10月15日(火)、11月5日(火)
※ただし10月14日(月・祝)、11月4日(月・振休)は開館
観覧料:一般 1,400円(1,200円)、大学生・高校生 1,100円(1,000円)、中学生以下 無料(付添者の同伴が必要です)
※( )内は前売料金
山種美術館ホームページ:https://www.yamatane-museum.jp/