「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」が、東京国立近代美術館と大阪中之島美術館にて開催されます。会期はそれぞれ、2024年5月21日(火)から8月25日(日)まで(東京)、2024年9月14日(土)から12月8日(日)まで(大阪)。
セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、大阪市中心部に位置する大阪中之島美術館は、いずれも大都市の美術館として、豊かなモダンアートのコレクションを築いてきました。
本展は、その3つの美術館のコレクションから、主題、モチーフ、素材、作品が生まれた背景などに着目し、共通点のある作品3つを組み合わせて紹介するという、これまでにないユニークな展覧会です。
絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像などの多彩なジャンルの作品でトリオを組み、20世紀初頭から現代までのモダンアートの新たな見方を提案し、その魅力を浮かびあがらせます。
パウル・クレー 《黄色の中の思考》 1937年、東京国立近代美術館 (トリオ、テーマ<プリミティヴな線>より)
会場では、「モデルたちのパワー」「空想の庭」「日常生活とアート」など34のトリオを組み、それをテーマやコンセプトに応じて、150点あまりの作品を7つの章に分けて紹介。出品作品のうち、32点は初来日となります。
「川の流れる都市風景」のトリオのテーマでは、アルベール・マルケ、小泉癸巳男、小出楢重の組み合わせ。パリ、東京、大阪という3都市の川景色と橋を3者3様に描いた作品が並びます。
「空想の庭」では、ラウル・デュフィ《家と庭》、辻永《椿と仔山羊》、アンドレ・ボーシャン《果物棚》が組み合わされています。植物にゆかりのある3名の画家は、それぞれが好んだ草花や果物、動物をリズミカルに画面に配置しながら、自由にイマジネーションを羽ばたかせ、絵の中にしか存在しない空想の庭とでも呼べるような世界を作り出しています。
ラウル・デュフィ 《家と庭》 1915年、パリ市立近代美術館 photo: Paris Musées/Musée d'Art Moderne de Paris (トリオ、テーマ<空想の庭>より)
「現実と非現実のあわい」では、画家が過去の絵画を参照しつつ、自らの分身のような存在を描きこむことで、現実と非現実のあわいを出現させている作品を紹介。
サンドロ・ボッティチェリの《春》(1482年頃、ウフィツィ美術館)に現れるフローラを引用したルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》、古典的な女性を中央に配した有元利夫《室内楽》のほか、かつてアンリ・ルソーが住んでいた場所に引っ越したヴィクトル・ブローネルは、ルソーの《蛇使いの女》(1907、オルセー美術館)に、ブローネルが生み出した、巨大な頭部と2つの身体、6本の腕を持つ「コングロメロス」を登場させた《ペレル通り2番地2の出会い》を描いています。
ヴィクトル・ブローネル 《ペレル通り2番地2の出会い》 1946年、パリ市立近代美術館 photo: Paris Musées/Musée d'Art Moderne de Paris (トリオ、テーマ <現実と非現実のあわい>より)
有元利夫 《室内楽》 1980年、 東京国立近代美術館 (トリオ、テーマ<現実と非現実のあわい >より)
ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》 1957年、 大阪中之島美術館 (トリオ、テーマ <現実と非現実のあわい >より)
「モデルたちのパワー」では、大胆にくつろいだ姿勢で寝そべるモデルを描いた絵画を紹介。アンリ・マティスの《椅子にもたれるオダリスク》、萬鉄五郎の《裸体美人》(重要文化財)、アメデオ・モディリアーニの《髪をほどいた横たわる裸婦》などが展示されます。
アンリ・マティス 《椅子にもたれるオダリスク》1928年、パリ市立近代美術館 photo: Paris Musées/Musée d'Art Moderne de Paris (トリオ、テーマ<モデルたちのパワー>より)
萬鉄五郎 《裸体美人》 (重要文化財) 1912年、 東京国立近代美術館(トリオ、テーマ<モデルたちのパワー>より)
アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》1917年、大阪中之島美術館 (トリオ、テーマ<モデルたちのパワー>より)
日常生活で用いるものをアートの領域に引き入れ、私たちの常識的概念に揺さぶりをかける「日常生活とアート」では、倉俣史朗の《Miss Blanche (ミス・ブランチ)》などを紹介。「色彩とリズム」では、カラフルで抽象的な作品が展示されます。
倉俣史朗 《Miss Blanche (ミス・ブランチ)》デザイン 1988年/製作 1989年、 大阪中之島美術館 (トリオ、テーマ<日常生活とアート>より)
会場では、パウル・クレー、ピカソ、ローランサン、バスキア、藤田嗣治、佐伯祐三、草間彌生など、20世紀初頭から現代にかけて活躍してきた、西洋と日本の110名のアーティストの作品が一堂に会します。
紹介した作品以外にも、バスキアと佐伯のストリートアート対決、藤田とローランサンの女神競演、ピカソと萬のキュビスム作品、交友関係にあった岡本太郎とアルプの響き合う作品どうしの組み合わせなど、各美術館を代表する作品による、本展のためだけの特別トリオが会場に並びます。
紹介した作品以外にも、バスキアと佐伯のストリートアート対決、藤田とローランサンの女神競演、ピカソと萬のキュビスム作品、交友関係にあった岡本太郎とアルプの響き合う作品どうしの組み合わせなど、各美術館を代表する作品による、本展のためだけの特別トリオが会場に並びます。
東西の巨匠による共通点がある作品を比べて鑑賞することで、単体では気が付かなかった発見もありそうです。2度とないかもしれない夢のトリオ展で、新たな鑑賞体験を楽しんでみませんか。
【開催概要】
[東京会場]
会期:2024年5月21日(火)-8月25日(日)会場: 東京国立近代美術館
住所: 東京都千代田区北の丸公園3-1
時間 :10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
金曜・土曜は10:00~20:00(最終入場時間 19:30)
休館日:月曜日、7月16日、8月13日
※ただし7月15日、8月12日は開館
観覧料:一般 2,200円(2,000円)、大学生1,200円(1,000円)、高校生700円(500円)
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料
※本展の観覧料で観覧日当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も観覧できます。
[大阪会場]
会期:2024年9月14日(土)-12月8日(日)
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
TRIO展公式サイト :https://art.nikkei.com/trio/