特別展「浮世絵の別嬪さん ─歌麿、北斎が描いた春画とともに─」が、東京・虎ノ門の大倉集古館にて、2024年4月9日(火)から6月9日(日)まで開催されます。
⑥ー1勝川春章「雪月花図」⑦ー2勝川春章「雪月花図」⑧ー3勝川春章「雪月花図」
勝川春章《雪月花図》3幅対、天明7~8年(1787~88)MOA美術館蔵、重要文化財【後期展示】

浮世絵は、江戸時代に花開いた往時を象徴する日本美術の作品群です。一般に浮世絵の享受者は、それまでの朝廷や上級武家ではなく、零細な商工業者をはじめとする町人たちで、浮世絵は近世の庶民文化が育んだものといわれています。
①菱川師宣《紅葉下立美人図》
菱川師宣《紅葉下立美人図》1幅、元禄元~7年(1688~94)、個人蔵【通期展示】

しかし、そうした浮世絵の中には、いわゆる版画とは異なり、比較的裕福な町人に需要者を多く持ち、さらに稀には天皇や将軍、大名たちが所有、鑑賞した絵画作品があり、それらは「肉筆画」と呼ばれています。
本展は、これら一点ものの絵画作品である肉筆浮世絵のなかでも、美人画に焦点をあてた展覧会です。

展示は「初期風俗画と又兵衛、そして師宣の誕生―17世紀」「安度、長春の隆盛―18世紀前期までの美人画」「春章、歌麿、栄之の精華―18世紀後期の美人画」「葛飾北斎と歌川派の浮世絵師―19世紀の美人画」「めくるめく春画の名品」の5章で構成。
④懐月堂安度《立美人図》
懐月堂安度《立美人図》1幅、宝永~正徳(1704~16) 、千葉市美術館蔵【前期展示】

美人画は、流派によって面貌や姿態の表現に個性が表れるものですが、特に絵画であるがゆえの直筆の冴えからは、同時代の大衆世界の美意識を如実に感じとることができます。
③岩佐又兵衛《伊勢物語図「梓弓」(樽屋屏風)》1幅、江戸時代・17世紀前期、個人蔵、重要美術品
岩佐又兵衛《伊勢物語図「梓弓」(樽屋屏風)》1幅、江戸時代・17世紀前期、個人蔵、重要美術品【前期展示】

展示では、浮世絵誕生直前の17世紀の岩佐又兵衛や初期風俗画から始まり、開祖である菱川師宣、18世紀前半に活躍した懐月堂安度や宮川長春、浮世絵の黄金期の18世紀後半に活躍した勝川春章や喜多川歌麿、鳥文斎栄之と続き、葛飾北斎や歌川派の絵師など19世紀の絵師にいたるまで、歴代の著名な浮世絵師たちの活躍を、前後期併せて86点の美人画の名品でたどります。
⑤葛飾北斎《二美人図》 (後期展示)
葛飾北斎《二美人図》江戸時代、享和(1801-04)頃、MOA美術館蔵、重要文化財【後期展示】

また、浮世を謳歌した江戸時代の人々の性に対するおおらかさを示す事例として、歌麿が35歳頃に描いた《歌満くら》など、艶やかで妖しい春画の名品も紹介されます。
②喜多川歌麿《歌満くら》 
喜多川歌麿《歌満くら》12図の内、天明8年(1788)、個人蔵【通期展示】

会期中、専門家による講演会や担当学芸員によるギャラリートークも予定されています。詳細は大倉集古館ウェブサイトでご確認ください。

展覧会概要
==============================================
【展覧会名】浮世絵の別嬪さん ―歌麿、北斎が描いた春画とともに―
【会期】2024年4月9日(火)~6月9日(日)
       *前期:4月9日(火)~5月6日(月・休) *後期:5月8日(水)~6月9日(日)
【会場】 公益財団法人 大倉文化財団 大倉集古館
     東京都港区虎ノ門 2-10-3(オークラ東京前)
【開館時間】 10:00~17:00(入館は16:30 まで)
 ※金曜日は 19:00 まで開館(入館は18:30 まで)
【休館日】 毎週月曜日(祝休日の場合は翌火曜日)
【入館料】 一般 1,500円、大学生・高校生1,000円、中学生以下無料
 ※同会期中のリピーターは 500円引き
 ※20名様以上の団体は500円引き
 ※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者とその同伴者1名は無料
 ※着物(和装)での来館者は300円引き(割引併用不可)
 ※ミュージアムパスポート5,500 円
 ※オークラ東京とのセット鑑賞券(ランチセット5,500 円、茶菓セット3,000 円)
【大倉集古館ウェブサイト】https://www.shukokan.org