泉屋博古館東京(東京・六本木) にて2024年に開催される展覧会をご紹介します。

企画展「うるしとともに」—くらしのなかの漆芸美
*特集展示「受贈記念 伊万里・染付大皿の世界」
開催期間:2024年1月20日(土)-2月25日(日)
アジアの人々が見出した漆は、各地域の特性や美意識に応じて様々な技法が花開きました。多彩な漆芸品は、天然の接着剤や表面に艶と光沢を与える塗料として、東洋の人々のくらしに深く根差してきました。
本展では、住友コレクションの漆芸品の数々を、用いられてきたシーンごとに紹介し、漆芸品を見るたのしみ、使うよろこびについて考えます。
また同時開催として、近年同館へ寄贈された瀬川竹生コレクションの染付大皿を受贈後初めて公開します。(単館開催)
【おもな作品】
E309-4059
象彦《扇面謡曲画蒔絵会席膳椀具》大正時代・20 世紀 泉屋博古館

E309-4060
《染付玉取龍文大皿》江戸時代後期・19 世紀 泉屋博古館東京(瀬川竹生コレクション)

企画展「ライトアップ木島櫻谷」―四季連作大屏風と沁みる「生写し」
開催期間:2024年3月16 日(土)-5月12日(日)
本展では大正6年に大阪天王寺の茶臼山に竣工した住友家本邸を飾るために描かれた木島櫻谷の「四季連作屏風」を全点公開します。金地にそれぞれ季節の花を趣向を変えて描いた、高さ180 センチにもなる四双の華やかな大屏風は、制作途中で新聞に報じられるほど、世間の注目を集めました。
また動物画で知られる櫻谷ですが、彼ならではの生き生きととした、豊かな表情の花鳥動物たちは、観る者の心に沁みこんでくるようです。
本展では、江戸中期京都で生まれた円山四条派の代表的な画家たちによる花鳥画表現も併せて紹介することで、櫻谷の「生写し」表現の特質をライトアップします。(単館開催)
【おもな作品】
E309-4061E309-4062
木島櫻谷《柳桜図》大正 6 年(1917)泉屋博古館東京

E309-4063
幸野楳嶺《蔬果図額》明治 20 年(1887)頃 泉屋博古館東京

企画展「歌と物語の絵」―雅やかなやまと絵の世界(仮)
開催期間:2024年6月1日(土)-7月21日(日)(巡回:泉屋博古館 2023年6月10日(土)~7月17日(月・祝))
古くから語り読み継がれてきた物語は、絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、絵画とのかかわりの中で表現が高められてきました。
物語絵や歌絵の特徴のひとつは、精細な描写と典雅な色彩と、宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承していることです。近世には自由で個性豊かな屏風、絵巻も登場します。
本展では館蔵の住友コレクションから、近世初期の物語絵と歌絵を選りすぐって紹介します。
【おもな作品】
E309-4064
《竹取物語絵巻》江戸時代・17 世紀 泉屋博古館

E309-4065
重文《是害房絵巻》(部分)南北朝時代・14 世紀 泉屋博古館

特別展 昭和モダーン、モザイクのいろどり「板谷梅樹の世界
*同時開催「特集展示 住友コレクションの茶道具」
開催期間:2024年8月31日(土) -9月29日(日)(巡回:板谷波山記念館 2024 年 4 月 20 日(土)~6 月 23 日(日))
モザイク画とは、陶片などのかけらを寄せあわせ、絵や模様を生み出すもので、19世紀末のアール・ヌーヴォーの流行と共に欧米から日本に伝わりました。
ステンドグラスに惹かれ、近代陶芸の巨匠であった父・波山(1872-1963)が砕いた陶片の美しさに魅了された板谷梅樹(いたや・うめき、1907-1963)は、額や飾管などのモザイク作品を帝国美術院展覧会(帝展)などで発表し、モザイク作家として活躍しました。
代表作は旧日本劇場一階玄関ホールの巨大なモザイク壁画で、陶片の色彩を活かした壮大なモザイク壁画は、当時の人々を驚嘆させたことでしょう。
本展では、梅樹が手掛けたエキゾチックなモザイク額や愛らしい装飾品を通して、彼の人となりに迫ります。
【おもな作品】
E309-4066
板谷梅樹《花》昭和時代・20 世紀 個人蔵

E309-4067
板谷梅樹《キリン》昭和時代・20 世紀 個人蔵

特別展「オタケ・インパクト」越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム
開催期間:2024年10月19日(土)-12月15日(日)
新潟県に生まれた尾竹越堂(おたけ・えつどう 1868~1931)、竹坡(ちくは 1878~1936)、国観(こっかん1880~1945)の三兄弟は、文部省美術展覧会をはじめ、明治から昭和にかけて様々な展覧会で成功を収め、近代日本画史にその名を残しました。しかし、実験的ともいえるラディカルな制作を試み、また破天荒な生き方を貫いた尾竹三兄弟は、これまでの美術史の中では見過ごされてきました。
本展は、東京で尾竹三兄弟を紹介する初めての展覧会です。彼らの重要作をはじめ、多数の新出作品や未公開資料から、知られざる尾竹三兄弟の人と作品を紹介します。(単館開催)
【おもな作品】
E309-4069E309-4068
尾竹越堂《漁樵問答》大正 5 年(1916) 個人蔵

E309-4070E309-4142
尾竹竹坡《九官鳥》明治 45 年(1911) 個人蔵

E309-4071
尾竹国観《人物図》明治 30 年代 泉屋博古館東京蔵

《泉屋博古館東京 基本情報》
館名:泉屋博古館東京(せんおくはくこかんとうきょう) SEN-OKU HAKUKOKAN MUSEUM TOKYO
住所:東京都港区六本木 1-5-1
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11:00-18:00(入館は 17:30 まで)※金曜日は 19:00 まで(入館は 18:30 まで)
休館 日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間中、年末年始