親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞─生涯と名宝」が、京都国立博物館平成知新館にて、2023年3月25日(土)から5月21日(日)まで開催されます。今なおその魅力あふれる教えで多くの人を惹きつけてやまない親鸞聖人(1173~1262)の生誕850年に合わせて開催される本展は、国宝11件、重要文化財約70件を含む、過去最大規模の親鸞の展覧会。
【国宝】《親鸞聖人影像(安城御影副本)》(部分)(賛・裏書)蓮如筆 室町時代(15世紀)京都・西本願寺(3月25日~4月2日展示)
<第一章> 親鸞を導くもの ー七人の高僧ー
親鸞は阿弥陀仏の救いが説かれる浄土三部経(無量寿経・観無量寿経・阿弥陀経)を信仰し、その教えを伝えてくれたインド・中国・日本の7人の高僧(龍樹・天親、曇鸞・道綽・善導、源信・源空)を讃えました。
本章では親鸞を知る上で不可欠な阿弥陀仏と浄土三部経、そこに親鸞を導いた7人の高僧を紹介します。
中央に阿弥陀如来を配し、その光明のはたらきを12体の化仏(12光仏)で象徴。全てを糸で表現する繍仏で、浄土真宗では類例を見ない稀有な本尊です。
親鸞が浄土三部経のひとつを書写した《観無量寿経註》。45歳以前の執筆と推定され、若き日の親鸞がいかに真摯に経典と向き合ったのかを知ることができます。

【国宝】《観無量寿経註》(部分)親鸞筆 鎌倉時代(13世紀)京都・西本願寺(3月25日~4月30日展示〈巻替あり〉)

【国宝】《観無量寿経註》(部分)親鸞筆 鎌倉時代(13世紀)京都・西本願寺(3月25日~4月30日展示〈巻替あり〉)
<第二章> 親鸞の生涯
親鸞の教えを曲解するものが現れたことを歎いた門弟によって書かれた「歎異抄」。「善人なをもて往生をとぐ。いはんや悪人をや」「親鸞は弟子一人ももたずさふらう」などの有名な親鸞の言葉と、異義に対する批判を記しています。今回、展示されるのは親鸞の子孫で、本願寺第8世の蓮如が書写した現存最古の写本。末尾には諸本に見えない流罪の記録も掲載されています。

【重要文化財】《歎異抄 巻下》(部分)蓮如筆 室町時代(15世紀)京都・西本願寺(3月25日~4月9日展示)

【重要文化財】《歎異抄 巻下》(部分)蓮如筆 室町時代(15世紀)京都・西本願寺(3月25日~4月9日展示)
関東で教えを曲解するものが現れたため、息子の善鸞を派遣して事態の収拾を図りますが、その善鸞が誤った教えを説いていることが発覚し、84歳にして親子の縁を切ることになります。本作は、それを門弟に周知した「善鸞義絶状」の写し。「あさまし」「かなしき」「こころうき」など親鸞の心情を表す言葉を見ることができます。


【重要文化財】《善鸞義絶状》(部分)顕智筆 鎌倉時代 嘉元3年(1305)三重・専修寺
《覚信尼絵像》室町~桃山時代(16世紀)新潟・福因寺
親鸞は、自身の生涯について多くは語らなかったものの、三十三回忌にあたる1295年(永仁3年)、ひ孫の覚如(かくにょ)によって親鸞の生涯を描いた絵巻物「親鸞伝絵(でんね)」が制作されました。本章では、修理後初公開となる「親鸞伝絵」の最終版《本願寺聖人伝絵》などとともに、出家得度から師・法然との出遇い、念仏弾圧と越後への流罪、京都での往生、親鸞の墓所・大谷廟堂成立という90年の生涯をたどります。度重なる試練に見舞われながらも、 自らの信じる道を貫いた親鸞の姿を見ることができます。

【重要文化財】《本願寺聖人伝絵(康永本)》上巻 本(部分)(詞書)覚如筆 (絵)康楽寺円寂筆 南北朝時代 康永2年(1343)京都・東本願寺(5月2日~5月21日展示)

【重要文化財】《本願寺聖人伝絵(康永本)》上巻 本(部分)(詞書)覚如筆 (絵)康楽寺円寂筆 南北朝時代 康永2年(1343)京都・東本願寺(5月2日~5月21日展示)
<第三章> 親鸞と門弟
「歎異抄」には親鸞は「弟子一人ももたずさふらう」と記されていますが、実際は多くの人々が帰依し、関東を中心に教えを広め、継承していきました。本章では有名な門弟の坐像などから、親鸞の教えの広がりを紹介します。
顕智は下野(栃木県)高田の専修寺第三世。親鸞の直弟子で葬儀に際して骨を拾い、大谷廟堂の創建にも尽力しています。また親鸞の著作や《善鸞義絶状》など多くを書写して伝える重要人物です。
【重要文化財】《顕智坐像》鎌倉時代 延慶3年(1310)栃木・専修寺
<第四章> 親鸞と聖徳太子
親鸞は29歳の時に比叡山を下り、聖徳太子の創建と伝えられる六角堂へ100日間参籠し、聖徳太子の本地(本来の姿)である救世観音より夢告を受けたとされます。本章では、夢告に関する法物などから、親鸞の聖徳太子に対する信仰をうかがいます。
《恵信尼書状類》は、親鸞の没後に妻の恵信尼が娘の覚信尼に宛てた手紙。親鸞が比叡山で堂僧を勤めていたことや、六角堂へ参籠し95日目の明け方に観音より夢告を受け、法然の弟子になったことなどが記載されています。


【重要文化財】《恵信尼書状類》「恵信尼書状類」のうち(部分) 恵信尼筆 鎌倉時代(13世紀)京都・西本願寺(5月2日~5月21日展示)
<第五章>親鸞のことば
本章では、親鸞自筆の著作や手紙、門弟が書写した著作や法語を紹介し、親鸞その人の姿に迫ります。
【国宝】《教行信証》(坂東本)親鸞筆 鎌倉時代(13世紀)京都・東本願寺〈冊替あり〉
「坂東本」は、関東の坂東報恩寺に伝来した唯一の自筆本。60歳ごろまでの筆跡とともに、80歳代と考えられる加筆・訂正も見られ、最晩年に至るまで信仰の道をひと筋に歩んだ親鸞の姿をうかがうことができます。
<第六章> 浄土真宗の名宝 -障壁画・古筆-
親鸞の教えは多くの人を魅了し、浄土真宗は大きく発展を遂げ、法物のほかに数多くの名宝が伝来しています。
本章では、京都に伝来する浄土真宗の名宝を紹介。《三十六人家集(忠見集)》など、平安時代の宮廷文化の美意識を伝える古筆や、望月玉泉筆《桜花図》といった京都画壇の画家による障壁画の優品が展示されます。
春の親鸞展を飾るにふさわしい絢爛たる桜を描いた、 東本願寺の親鸞を祀る御影堂の大衝立。 作者の望月玉泉は明治から大正時代にかけて京都で活躍した四条派の画家です。

《桜花図 桜花図/松・藤花図のうち》望月玉泉筆 明治28年(1895)京都・東本願寺

《桜花図 桜花図/松・藤花図のうち》望月玉泉筆 明治28年(1895)京都・東本願寺
平安貴族の美意識の結晶とも言うべき《三十六人家集》は、三十六歌仙の和歌を歌仙別に冊子とした装飾写本。 1549 年(天文18)、 後奈良天皇から西本願寺に下賜された。あらゆる装飾技法を駆使した美しい歌集です。


【国宝】《三十六人家集(忠見集)》平安時代(12世紀)京都・西本願寺(5月2日~5月21日展示 帖替あり)
<第七章> 親鸞の伝えるもの -名号(みょうごう)-
名号とは、浄土真宗の本尊となる仏の名前で、親鸞は それを称えること (念仏) により救済されると説きました。本章では親鸞自筆の名号を肖像とともに紹介します。
似絵の名手として知られた藤原信実の子・専阿弥陀仏が、生前の親鸞を描いたとされる絵像。 鏡に映したようにそっくりであることから「鏡御影」 と呼ばれます。鋭いまなざし、引き締まった口元が、 求道者・親鸞のすごみを感じさせます。

【国宝】《親鸞聖人影像(鏡御影)》(部分) 覚如賛 専阿弥陀仏筆 鎌倉時代(13世紀)京都・西本願寺(5月2日~5月14日展示)

【国宝】《親鸞聖人影像(鏡御影)》(部分) 覚如賛 専阿弥陀仏筆 鎌倉時代(13世紀)京都・西本願寺(5月2日~5月14日展示)
親鸞ゆかりの品々が全国各地の浄土真宗各派の寺院から集結し、求道と伝道に生きた親鸞の生涯をたどる史上最大の親鸞展。京都国立博物館で3月25日(土)から開催されます。
【展覧会概要】
親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞─生涯と名宝」
会期:2023年3月25日(土)~5月21日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
開館時間:9:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般 1,800円(1,600円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生 700円(500円)、中学生以下 無料
※( )内は前売料金
※大学生および高校生は学生証を提示
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者およびその介護者1名は観覧料無料