渡辺省亭生誕170年記念「鏑木清方と渡辺省亭―江戸画人の水脈―」が鎌倉の鏑木清方記念美術館で開催中です。美術館の紹介はこちらをご覧ください。
繊細かつ洒脱な画風で異才を放った渡辺省亭(1852~1918)。江戸情緒や身近な四季の移ろいを繊細に描き、「省亭風」と呼ばれた作風が明治・大正の市井の人々に愛されました。近年その画業が紐解かれ、再評価されています。
清方は省亭と同じ神田佐久間町の生まれで、年齢は29歳差。清方は13歳で挿絵画家をこころざす前から、本や雑誌に載せられた省亭の口絵や挿絵に接し、その清新な画風に魅了され、終生愛し続けました。
清方は省亭と一面識もなかったといいますが、一時省亭に花鳥画を学んだ水野年方に入門して研鑚を積み、「省亭は、年方に直結して、 間接には私にまで及んでゐる」(『こしかたの記』)とその影響を述べ、省亭の作品から花鳥の描き方を学んでいたとも語っています。
省亭の作品を蒐集して自宅の床の間に飾り、晩年まで省亭に私淑した清方。晩年には、省亭の遺族と交流する機会を得て、遺族から借り受けた《省亭写生画巻》を手元に置いて理解をさらに深め、随筆『こしかたの記」を執筆しました。
流麗な線描と情緒豊かな作風で挿絵画家、日本画家として名を馳せるようになる清方ですが、二人の作品を見比べながら鑑賞すると、清方の美人画は省亭の作品に通じるものがあることがよくわかります。
挿絵画家としての歩みを着実に進めていた清方は、24歳で、当時一流の文芸雑誌『文芸倶楽部』に挿絵を描くまでになります。本展では、この雑誌に掲載された木版口絵6点が展示。
また、省亭の木版画も見逃せません。
『美術世界』は、省亭が編集者を務め、明治23年から明治27年まで刊行した木版多色刷りの美術雑誌です。この雑誌には、省亭の花鳥画、ねずみや鯉などの生き物を描いた作品、すすきと月に舟を配した風景画など、様々な題材の作品をみることができます。この雑誌には省亭だけでなく、水野年方、柴田是真も関わっており、彼らの作品も展示されています。また、ロビーには水野年方旧蔵の省亭の明治23年(1890年)制作の木版摺の画帖『日本画譜』12点が展示され、こちらも省亭の美しい色彩と筆致による花鳥画などの優品を見ることができます。
展示をより楽しむためのガイドも無料でいただけます。
山下裕二先生(明治学院大学教授)の協力のもと、省亭から清方へと連なる美の伝承をたどる本展は、10月19日(水)まで開催しています。秋の一日、鎌倉散策と合わせて、清方の旧宅を訪ねてみてはいかがでしょうか。
山下裕二先生(明治学院大学教授)の協力のもと、省亭から清方へと連なる美の伝承をたどる本展は、10月19日(水)まで開催しています。秋の一日、鎌倉散策と合わせて、清方の旧宅を訪ねてみてはいかがでしょうか。
開館時間 午前9時00分~午後5時00分 (最終入館は午後4時30分まで)
※20名以上の団体でのご来館を希望される場合は、事前にご連絡ください。
休 館 日 毎週月曜日(9月19日〈月・祝〉、10月10日〈月・祝〉は開館)、10月11日(火)
観 覧 料 一般 450円、小・中学生 220円
美術館ホームページ http://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/exhibition/r04_toku_3.html
美術館ホームページ http://www.kamakura-arts.or.jp/kaburaki/exhibition/r04_toku_3.html