中国を代表する博物館、北京の故宮博物院の魅力を高精細映像で紹介する展覧会「故宮の世界」が、日中国交正常化50周年を記念して東京・上野の東京国立博物館で開催中です。
故宮
本展は明から清時代にかけて中国の皇帝たちが暮らした紫禁城をテーマにした特別デジタル展で、最先端のデジタル技術を活用し、中国美術の奥深さを紹介。さらに、東京国立博物館が所蔵・管理するコレクションの中からセレクトした、歴代皇帝や宮廷にゆかりのある文化財を展示し、華麗な中国文化の精粋、故宮博物院の多彩な魅力を紐解きます。
見どころや開催概要についてはこちらをご覧ください。事前予約は不要です。
展覧会公式サイト https://kokyu2022.jp/

バーチャル紫禁城
明・清時代の皇城を再現したVR空間を大型のLEDビジョンで体感。
午門や太和門といった中軸に位置する壮麗な門や、外朝の中でも国家の重要な政務・儀式を行った太和殿、中和殿、保和殿の「三大殿」など、故宮の建築を散策するように楽しむことができます。
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デジタル多宝閣 宮廷工芸コレクション
清朝の宮廷は歴史と伝統に裏打ちされた美術品に彩られていました。1925年に故宮博物院として一般公開され、現在は186万件ものを文化財を収蔵しています。
本展では、故宮の所蔵品を展示はありませんが、故宮博物院に所蔵されている歴代皇帝のコレクションの高精細なデジタルアーカイブデータを使用した「デジタル多宝閣」を展示。青銅器や玉器、陶磁器、漆器などの傑作から約30点が「多宝閣」に見立てた6面サイネージに陳列されています。4Kディスプレーに映し出される文化財は、細部まで詳細に観賞することができ、実物の素材感までもが伝わってくるようです。
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千里江山図巻 シアター 天才画家・王希孟が描いた世界
目玉展示のひとつである北宋時代の名画「千里江山図」。
この絵は12世紀初め、北宋の宮廷画家である王希孟が18歳で描いたもので、現存する青緑山水画の中で最も代表的で、大きな意義を持つ作品といわれています。絵の長さは11.9メートルで、「清明上河図」の2倍弱。これまで日本では公開されたことはなく、中国国内でも展示機会が限られる名品で、2017年に故宮で公開されたときは5時間も列に並び、5分しか鑑賞できない見学者もいたそうです。

会場ではこの作品が高さが約3メートル、幅が約22メートルの大画面のスクリーンにに投影され、華やかな色彩と緻密な筆使いで描き出された雄大な景色が、目の前で流れて行くように展開します。な鑑賞体験を、まるで絵画の世界に踏み入ったような感覚で青緑山水で描かれた美しい風景をゆったりと鑑賞できます。大画面では実物では見ることが難しい、絵画の中の滝や旅人、漁師、鳥の群れなどの細部までじっくり鑑賞することができます。一部分だけ取り出しても、その部分が一つの絵になりうるほど細かく描かれており、作者の力量に改めて感心します。
超大画面シアターに投影された青緑山水の傑作を通して、時空を超えた画中へ旅するような体験が楽しめます。
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清朝宮廷の書画と工芸
本展では、東京国立博物館が所蔵・管理するコレクションの中から選ばれた、歴代皇帝や宮廷にゆかりのある書画や工芸も展示されています。
なかでも目を惹くのが、清朝最盛期である乾隆帝(けんりゅうてい)の御代に宮廷画家たちが合作した長大な画巻、「慶豊図巻(けいほうずかん)」。
元宵節(げんしょうせつ、旧暦1月15日の祭)を迎えた北京が理想化されて描かれていると考えられている「慶豊図巻」は、当時の人々の日常の暮らしぶりが生き生きと描かれている本作は、中国・清時代の「洛中洛外図」といえばイメージしやすいのではないかと思います。
龍舞を見物する人、店先でものを売る商人、会食をしながら談笑する人々、美しく飾られた室内の様子、犬などの動物などが表情豊かに詳細に描き込まれた見所だらけの名作です。栄華を誇った大清帝国の最も偉大な皇帝、乾隆帝が、生涯を通して愛したこの長大な画巻をこの機会にぜひご覧ください。
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ほかにも乾隆帝や西太后らの堂々たる書や、美しい翡翠の工芸品など清朝宮廷の宝物を見ることができます。
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関連企画として、TNM & TOPPAN ミュージアムシアターでは、10月16日(日)まで「故宮VR 紫禁城・天子の宮殿」が上映中です。※別途鑑賞料が必要です。
本作品は、清王朝最盛期の紫禁城をバーチャルリアリティによって再現。壮麗な儀礼の空間「太和殿」、皇帝の政務と日常生活の場である「養心殿」、そして、王朝の最盛期を築き上げた乾隆帝の理想を形にした「倦勤斎」の3つの宮殿を時空を超えて訪れるような体験が楽しめます。