葛飾北斎の没後 170年を記念し、北斎の専門館である2つの美術館が協力して、「北斎没後 170 年記念 北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展」が東京のすみだ北斎美術館で開催されています。
天保13年(1842)、北斎は83歳の頃に初めて信州小布施を訪れました。そのきっかけは、幕府による天保の改革によって江戸では絵の制作が制限されたとも、地元の豪農・豪商の高井鴻山の招きに応じて訪れたとも、さまざまな説があります。
小布施では、鴻⼭の庇護を受け、恵まれた環境の中で、北斎は大作を残します。
天保15年(1844)85歳で東町祭屋台天井絵「龍図」「鳳凰図」を、翌弘化2年(1845)86歳のときには上町祭屋台天井絵「男浪図」「女浪図」を手がけました。
眼光鋭くこちらを見つめる鳳凰
葛飾北斎「上町祭屋台天井絵 男浪」弘化2年(1845)頃
「富士越龍」は、北斎が亡くなった年の試筆 (描き初め)として製作された作品。雪に包まれた雄大な富士がそびえ、黒雲が天空へと突き抜け、その中で龍が昇天してゆく様子が描かれています。 制作日が明らかな作品としては最も絶筆に近い図。
この「日新除魔」は、各地で所蔵されていて九州国立博物館に所蔵されているものは重要文化財に指定されています。注文制作でもなく、下絵の画稿でもなく、私的な作画である点が珍しい、また、ひとつの主題を多様に、かつ継続的に描き続けた例は他に見出し難いなどがその理由だそうです。
葛飾北斎「琵琶を弾く弁天」 寛政9年(1797)
《版画》
北斎の版画の中でも最も有名な「冨獄三十六景」や、同時期の「諸國名橋竒覧」「琉球八景」といった風景画なども北斎館では所蔵しています。
「冨獄三十六景は」、 北斎が 70歳代前半に制作した46 図からなる風景画のシリーズ。様々な要因によって、見え方の異なる富士を描き分け、北斎の視覚のマジックともよぶべき、構図の奇抜さが楽しめます。
「諸國名橋竒覧」は、全国の有名な橋などを描いたシリーズ。太鼓橋、吊橋など、その地域の特徴にあった構造の橋を風景画として描いています。
葛飾北斎「三夕 しき立さわまきたつ山 うらの苫屋」文化年間(1804-18)頃
初期から晩年に至る肉筆画をはじめ、代表作の錦絵「冨嶽三十六景」など、前後期あわせて北斎館所蔵の作品約 130 点が展示される貴重な機会です。ふだんは小布施・北斎館でしかみられない北斎の名品を、ぜひすみだ北斎美術館でご堪能ください。
会期 2019年11月19日(火)〜2020年1月19日(日)
前期:11月19日(火)~12月15日(日)
後期:12月17日(火)~2020年1月19日(日)
※前後期で一部展示替えあり 作品リスト
会場 すみだ北斎美術館
住所 東京都墨田区亀沢2-7-2
時間 9:30〜17:30(最終入場時間 17:00)
休館日 月曜日
年末年始 12月29日(日)~2020年1月1日(水)
2020年1月14日(火)
※ただし、2020年1月13日(月・祝)は開館
観覧料 一般 1,200円(960円)
高校生・大学生 900円(720円)
中学生 400円(320円)
障がい者 400円(320円)
小学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金です
※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証を要提示
※65歳以上の方は年齢を証明できるものを要提示
※身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで障がい者料金で観覧できます(入館の際は、身体障がい者手帳などを要提示)
※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も観覧できます
会場内の写真は美術館の許可を得て撮影
展覧会のタイトルは「北斎 視覚のマジック」。
現実にはありえないような斬新な構図や形を描いた北斎の作品を通してその魅力に迫ります。
天保13年(1842)、北斎は83歳の頃に初めて信州小布施を訪れました。そのきっかけは、幕府による天保の改革によって江戸では絵の制作が制限されたとも、地元の豪農・豪商の高井鴻山の招きに応じて訪れたとも、さまざまな説があります。
小布施では、鴻⼭の庇護を受け、恵まれた環境の中で、北斎は大作を残します。
天保15年(1844)85歳で東町祭屋台天井絵「龍図」「鳳凰図」を、翌弘化2年(1845)86歳のときには上町祭屋台天井絵「男浪図」「女浪図」を手がけました。
北斎肉筆画の集大成が小布施で花開いたのです。
北斎館は、北斎が晩年に訪れた長野県上高井郡小布施町に昭和 51 年に開館しました。本展では、初期から晩年に至る肉筆画、希少な摺物や版本、さらに錦絵の代表作「冨獄三十六景」など、北斎館所蔵の選りすぐりの名品が楽しめます。
※前後期で一部展示替えがあります。前期は12月15日(日)まで
※前後期で一部展示替えがあります。前期は12月15日(日)まで
《肉筆画》
北斎館は「画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館」と称するほど北斎の肉筆画のコレクションが充実しており、常時肉筆画を展示する展示室が設置されています。北斎の宗理期から晩年までの肉筆画を所蔵し、北斎の生涯の画業を通してみることができます。小布施・北斎館に展示されている東町祭屋台と上町祭屋台は、各屋台に 2 面ずつ、北斎によって描かれた天井絵が飾られています。東町祭屋台天井絵には「龍」と「鳳凰」、上町祭屋台天井絵には「男浪」と「女浪」。本展ではその中から「鳳凰」と「男浪」を展示。迫力のある祭屋台天井絵「鳳凰」「男浪」を東京で見ることができます!
眼光鋭くこちらを見つめる鳳凰
水をつかむような大波の荒々しさ、砕け散る波頭に注目!
葛飾北斎「上町祭屋台天井絵 男浪」弘化2年(1845)頃
「富士越龍」は、北斎が亡くなった年の試筆 (描き初め)として製作された作品。雪に包まれた雄大な富士がそびえ、黒雲が天空へと突き抜け、その中で龍が昇天してゆく様子が描かれています。 制作日が明らかな作品としては最も絶筆に近い図。
左:葛飾北斎「富士越龍」嘉永2年(1849)
天保の飢鐘の際に錦絵などは売れず、浮世絵師は貧窮していました。北斎は山水人物、 花鳥草木等を描いて、画帖に表装し「肉筆画帖」として売り出しました。北斎の絵は飢縫中でも買う者がいて、北斎は餓死を免れたということです。10図が揃って残るのは北斎館所蔵品を含めて3例しかなく、非常に貴重なもの。本展では、北斎館所蔵の『肉筆画帖』が前後期に分けて全て展示されます。
右:葛飾北斎「肉筆画帖」天保5~15年(1834-44)頃
左:葛飾北斎「桔梗図」文化7~11年(1810-14)頃
北斎が日付とともに獅子や獅子舞の絵を描いた作品群「日新除魔」。北斎が放蕩の孫の悪魔祓いとして毎日描いたこの絵は、北斎の生涯を知る上でも貴重な作品です。本展では「日新除魔」が前後期に分けて 4 点ずつ展示されます。
葛飾北斎「日新除魔」天保13~14年(1842-43)頃
この「日新除魔」は、各地で所蔵されていて九州国立博物館に所蔵されているものは重要文化財に指定されています。注文制作でもなく、下絵の画稿でもなく、私的な作画である点が珍しい、また、ひとつの主題を多様に、かつ継続的に描き続けた例は他に見出し難いなどがその理由だそうです。
4階の常設展では、北斎が「日新除魔」を描いている場面を再現。こちらもお立ち寄りください。
《摺物》
摺物とは版画のなかでも、本屋などで売られる錦絵とは異なり、狂歌師や長唄の師匠らが個人的に発注したプライベートな配物の版画のこと。
北斎館では、他では所蔵が知られていない摺物など世界的にみても貴重な作品を多く所蔵しており、本展ではその一部が展示されます。
菱川宗理「宝船」 文化2年(1805)
葛飾北斎「琵琶を弾く弁天」 寛政9年(1797)
《版画》
北斎の版画の中でも最も有名な「冨獄三十六景」や、同時期の「諸國名橋竒覧」「琉球八景」といった風景画なども北斎館では所蔵しています。
「冨獄三十六景は」、 北斎が 70歳代前半に制作した46 図からなる風景画のシリーズ。様々な要因によって、見え方の異なる富士を描き分け、北斎の視覚のマジックともよぶべき、構図の奇抜さが楽しめます。
「諸國名橋竒覧」は、全国の有名な橋などを描いたシリーズ。太鼓橋、吊橋など、その地域の特徴にあった構造の橋を風景画として描いています。
額縁のような枠を持つ、小判の風景画です。銅版画に興味を持っていた北斎が、これを木版画に再現しようとしたもので、北斎が西洋画への関心がわかる興味深い作品。
三タとは「新古今和歌集」に収載された、「秋の夕暮」を結びとした3首の名歌のこと。
それぞれの歌の意がどのように表現されているか見比べてみてください。
葛飾北斎「三夕 しき立さわまきたつ山 うらの苫屋」文化年間(1804-18)頃
また、弟子の北妙が師の「冨獄三十六景」を模倣した作品も見どころの一つ。
春婦斎北妙「冨嶽三十六景」天保(1830-44)前期
《版本》
北斎は画号ごとに、主に手がけた版本のジャンルを変えましたが、北斎館では各時期の版本を所蔵しています。後摺になると薄墨や濃墨の版木が省略されてしまい、北斎の挿絵の当初の意図が分からなくなってしまいますが、北斎館所蔵本には薄墨などものこる初摺のものもあり貴重です。
天明期、江戸では一大「狂歌ブーム」が巻き起こり、社会現象にさえなりました。本作は北斎と歌麿の挿絵が入った狂歌絵本。
葛飾北斎「春の曙」 寛政8年(1796)
江戸名所が描かれた狂歌絵本。
葛飾北斎「百囀(ももさえずり)」 文化2年(1805)
「春の曙」、「百囀(ももさえずり)」は、 どちらも現存わずか数例という貴重な作品です。
葛飾北斎「新編水滸画伝 初編」 文化2年(1805)魔物が飛び出す場面では、茶の薄墨を見ることができ、初摺ならではの美しさが際立つ作品。
初期から晩年に至る肉筆画をはじめ、代表作の錦絵「冨嶽三十六景」など、前後期あわせて北斎館所蔵の作品約 130 点が展示される貴重な機会です。ふだんは小布施・北斎館でしかみられない北斎の名品を、ぜひすみだ北斎美術館でご堪能ください。
また、すみだ北斎美術館は、本年 11 月 22 日で開館3周年を迎えることを記念して、各種イベントが開催されます。
開館記念日 11 月 22 日には、先着で記念品配布。ミュージアムショップでは記念商品 「冨嶽三十六景」ポストカードセットが新発売。
ほかにも記念上映として「須佐之男命厄神退治図」推定復元(彩色)のプロジェクション、「ロスト北斎 The Lost Hokusai『幻の巨大絵に挑む男たち』」上映なども。
ミュージアムショップでは展覧会記念となる図録などオリジナルグッズも販売中。
この機会にぜひすみだ北斎美術館へ足を運んでみてください!記念撮影スポットもあります。
北斎没後 170 年記念
北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展 公式サイト会期 2019年11月19日(火)〜2020年1月19日(日)
前期:11月19日(火)~12月15日(日)
後期:12月17日(火)~2020年1月19日(日)
※前後期で一部展示替えあり 作品リスト
会場 すみだ北斎美術館
住所 東京都墨田区亀沢2-7-2
時間 9:30〜17:30(最終入場時間 17:00)
休館日 月曜日
年末年始 12月29日(日)~2020年1月1日(水)
2020年1月14日(火)
※ただし、2020年1月13日(月・祝)は開館
観覧料 一般 1,200円(960円)
高校生・大学生 900円(720円)
中学生 400円(320円)
障がい者 400円(320円)
小学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金です
※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証を要提示
※65歳以上の方は年齢を証明できるものを要提示
※身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで障がい者料金で観覧できます(入館の際は、身体障がい者手帳などを要提示)
※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も観覧できます
会場内の写真は美術館の許可を得て撮影