江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎(かつしかほくさい)にちなんださまざまな展覧会を開催している「すみだ北斎美術館」では、2月5日(火)から葛飾北斎や北斎一門が描いてきた生き物たちにスポットを当てた展覧会「北斎アニマルズ」が開催されています。
北斎とその門人の描いた動物や、玩具や道具としてデザイン化された動物、物語や伝記などの文脈と共に描かれた動物など、絵画の中のさまざまな動物が紹介されています。
本展では作品を「生けるがごときアニマル」「かわいらしいアニマル」「絵ならではのアニマル」という3章に分けて紹介。
北斎は生涯にわたって動物や虫などの絵を描いています。
最初の章では、鳥、動物、動物(猫)、動物(干支)、魚介、虫・爬虫類・両生類と多様な、生けるがごときアニマルが登場します。
葛飾北斎 桜に鷹
色彩がとても美しい、北斎の花鳥画の傑作の一つです。
葛飾北斎 猿
祝儀の際などに舞う三番叟を取る猿が生き生きと描かれています。じっくり観察し、描かれた中でも、どこかユーモアや愛嬌のある姿になるのは北斎ならでは。
猫もいます。
干支の動物を描いた作品もあります。
動物園にいるような、哺乳類や鳥などのほか、虫、魚介などの生き物もたくさん描いています。
右:葛飾北斎 南瓜花群虫図
南瓜の花の周りに集まる鳥を集まる虫たちを描いた絵。下の方にはカマキリ、キリギリス、バッタなどがいて、セミ、トンボなどが空を飛んでいます。花の上の2匹のセミは羽ばたいている様子をぼかしで表現するなど、細かいところもリアリティを追求する北斎の姿勢がうかがえます。
北斎が描いたものだけではなく、一門の作品も同時に展示されています。北斎と北斎から学んだ絵師の画法を比べて見るのも楽しいかもしれません。
二代葛飾戴斗 鯉魚
葛飾北斎 亀
次の章では、北斎や門人が描いた、かわいらしい動物の絵がたくさん紹介されています。
葛飾北斎 『北斎漫画 草筆之部』 山鴞
寝ているのかな?落ちないか心配ですね。
北斎は、北斎漫画を始めとする指南書も数多く手がけていて、指南書に描かれた動物の絵も紹介されます。
猿は牧谿猿に似ています。この時代に定規とコンパスを使用した指南書というのも珍しいかもしれません。
「略画早指南」は前編・後編の2巻からなる作品で、タイトルに指南という言葉が付いていることからわかるように、絵を描く方法を説明した本。
魚屋北溪 三十六禽続 子犬
首を傾げた様子がとてもかわいい犬!応挙の描いた犬のようですね。
柳川重信 猪の貴人
擬人化されたイノシシと枠の中にヘビが描かれています。イノシシと蛇は十二支では7つ離れており 7つ目の干支を組み合わせた絵は幸運を招くと信じられていました。
北斎が描く動物は、実際の動物の姿だけではありません。昔話などのなかで描かれる動物もいます。
これは昔話の中のネズミの隠れ里を描いたもの。
葛飾北斎『北斎漫画』十編 家久連里
おもちゃとなった動物を描いた作品もあります。これは蛇のおもちゃを描いたもの。
葛飾北斎 鞠と玩具
北斎が生きた当時には、河童などが実在すると信じられていたため、他の動物と変わりなく河童が描かれているのがおもしろい。
未確認アニマルなど絵ならではの動物の作品も。
左:葛飾北斎『北斎漫画』二編 白沢(はくたく) 獏(ばく)
右:二代葛飾戴斗『花鳥画伝』初編 鵬(おおとり)
他にも服の柄などにデザイン化されたアニマル、物語・伝説のなかのアニマル、こわいアニマルなど、動物園ではみることができない、絵画ならではのアニマルたちが楽しめます。
また今回、平成に一大ブームを巻き起こした(株)ノラコムの「動物占い®」と、企画展「北斎アニマルズ」がコラボしています。「動物占い®」の12キャラクターが、北斎が描いた生き物「北斎アニマルズ」になって、今回特別にフォトスポットとして登場。
3階ホワイエでは、誕生日の情報から、あなたの北斎アニマルが簡単に確認できます。ちなみに北斎は猫だそう。
自分の北斎アニマルを探し、性格をチェックしてみると、展示がさらに楽しめそうですね。動物占い®×北斎アニマルズ展 コラボ企画
本企画展は3階のみですが、4階企画展示室は期間限定で「常設展プラス 隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」が開催されています。
美術館所蔵の版本『北斎漫画』などのほか、「隅田川両岸景色図巻」(複製画)の絵巻が、全長7mまとめて展示されています。
「隅田川両岸景色図巻」は、北斎の壮年期の肉筆画の傑作で、100年以上も行方が知れなかった幻の図巻です。
縦28.5センチ、長さ6メートル33.5センチ。両国橋の近くから隅田川を舟で上って吉原に向かう両岸の景色と、遊郭での遊興場面を、彩色豊かに描いたもので、北斎壮年期の肉筆画の最高傑作の一つともいわれています。保存状態もきわめて良好。
1805年(文化2年)、北斎46歳ごろの作で、巻末には北斎が用いた「画狂人」の印が押されています。制作依頼者は江戸の戯作者、烏亭焉馬(うていえんば)で、後半の落款にその制作事情を北斎が記しています。画中の最終場面、吉原室内。杯を手にした男性が北斎である可能性があるそうなので、チェックしてみてください。
複製画とはいえ、全部まとめて見ることができる機会は多くないので、このチャンスにぜひ!
常設展プラスでは北斎漫画の複製を手に取って見ることができます。
スライドトーク「北斎アニマルズ展の見どころ」など関連イベントも多数!ぜひ公式ホームページをチェックしてみてくださいね。
見どころいっぱいの「北斎アニマルズ」。ぜひお気に入りの動物を見つけてください。
北斎アニマルズ ※会期中、展示替え、頁替えがありますのでご注意ください。 作品リスト
会期: 2019年2月5日(火)~2019年4月7日(日)
前期:2月5日(火)~3月3日(日)
後期:3月5日(火)~4月7日(日)
会場:墨田区・すみだ北斎美術館
会期:2019年2月5日(火)~4月7日(日)
前期:2月5日(火)~3月3日(日)
後期:3月5日(火)~4月7日(日)
※前後期で一部展示替えを実施
※休館日:毎週月曜日
2月11日(月・祝)開館、2月12日(火)休館
主催:墨田区・すみだ北斎美術館
すみだ北斎美術館公式ホームページ