東京・六本木にある泉屋博古館分館では、特別展「典雅と奇想 明末清初の中国名画展」が開催されています。中期展示が11月21日から始まったので、行ってきました。
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展覧会公式サイトより「中国の明時代末期(16世紀後期-17世紀前期)は、反乱や飢饉など政治的経済的混乱から不安な時代が続き、ついには北方の異民族であった清の支配へと大きく社会が変動しました。
この明末清初(16世紀後期~18世紀初)の中国には、主流となった呉派を発展させた正統派の画家が活躍する一方で、彼らの典雅な山水表現に背を向けた異端の画家たちが現れます。呉彬はじめ徐渭や石濤、八大山人から清初の惲寿平など、これらの画家たちは非常に個性的で、人目を驚かすような奇想的ともいえる造形を生みだしました。
本展は、当館のコレクションを軸として、他の美術館・博物館所蔵の名品優品をこれに加え、「典雅と奇想」という切り口で明末清初の中国絵画を見直し、歴史の変動期に生きた画人たちを紹介するものです。」

中期からの展示を中心に作品をご紹介。
1花卉雑画巻  徐渭 じょい 明・万暦3年 一巻 東京国立博物館
2花卉雑画巻  徐渭 じょい 明・万暦19年 一巻 泉屋博古館は並べて展示されています。1が少し前の作品。1は中墨が主体で、2は濃墨が増えています。
後期にさらに巻き直しを行い、同じモチーフを描いた場面を並べて展示するそうです。こちらも見逃せないですね!

8溪山絶塵図  呉彬 ごひん 明・万暦43年 一幅 橋本コレクション 重力を無視するようにそびえる山々に圧倒されます。五代関同に典拠を持つ作品だそうです。墨に薄く代赭、藍色を配色。真ん中の兎のような岩が目立ちます。
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23越中名勝図冊  張宏 ちょうこう 明・崇禎12年 一冊八頁 大和文華館 は場面替え、今回は山水図でした。
50倣趙令穣江村平遠図巻 王翬 おうき 清・康煕51年 一幅 京都国立博物館
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52花隖夕陽図巻  惲寿平 うんじゅへい 清・康煕10年 一巻 京都国立博物館 米法山水の正統な画風の小景画。淡く巧みな彩色が美しい。柳は輪郭と色が少しずれており、風になびく様子を表現しています。
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54天池石壁図巻 てんちせきへきずかん 惲寿平 うんじゅへい 清・康煕23年 一巻 個人蔵 30年ぶりに展示された作品。後期に最後の場面替えがあります。

52~54を見ると、惲寿平の画風の多様性、変化をたどることができます。彼はもともとは山水画を得意としていましたが、王翬にはかなわないと、花卉画を専門に描き始め、清代を代表する花卉画の大家となりました。


その他主な展示作品は公式サイトで一部画像を見ることができます。
12月5日から最後の展示替えがあります。展示期間をご確認のうえご来館ください。
展示作品リストは公式サイトの下のお知らせ欄にあります。
なお、入館時に渡されたチケット半券は2回目のご入館時に提示すると、半額割引が適用されます(公式サイトのお知らせ欄参照)。大切に持っておきましょう。


会期中のイベントをご案内します 
◇静嘉堂文庫美術館(静嘉堂文庫美術館公式サイト)との連携企画講演会!
本展は静嘉堂文庫美術館にて開催の特別展「あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~」(10月28日~12月17日)との連携企画です。
★ギャラリー・トーク 
12月2日(各土)15:00~16:00
ナビゲーター:野地耕一郎(泉屋博古館 分館長)

泉屋博古館分館 特別展「典雅と奇想 明末清初の中国名画展」
11月3日(金・祝)~12月10日(日)
会場:泉屋博古館分館 〒106-0032東京都港区六本木1-5-1
開館時間:10:00-17:00
休館日:月曜日
入館料:一般800円(640)、高大生600円(480)、中学生以下無料
入館時にお渡しするチケット半券は2回目のご入館時に提示いただきますと、半額割引が適用されます。 *20名様以上の団体はカッコ内の割引料金
電話:03ー5777ー8600(ハローダイヤル) 

※単眼鏡の無料レンタルあり(先着10名)。受付で申し込み。